VIGの配当利回りは約2%です。
VIGは「増配を続けていること」を重視し、VYMは「現在高配当であること」を重視しているため、配当利回りや株価の値動きが大きく異なります。
この記事では、投資家税理士 坂根が解説します。
ポイント
関連記事:【年利3%】安定利息収入Fundsの評判は?税理士が解説
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VIGの配当金利回りは約2%
VIGの年間配当利回りは、2022年7月現在約2%です。
2%と聞くと、高配当ETFであるVYM・SPYD・PFF(配当利回りが3〜5%)と比べて物足りなく感じるかもしれません。
それは、VIGは「いま現在、高配当である銘柄に投資するETF」ではなく、「連続増配している銘柄に投資するETF」だからです。
ポイント
- 配当金は年4回、3月・6月・9月・12月にもらえる
- 1口当たりの配当金は約360円(1回90円)
- VIGの配当金は増配傾向
配当金は年4回、3月・6月・9月・12月にもらえる
VIGは四半期ごとに配当金の支払いがあり、権利確定日は3月・6月・9月・12月の年4回となっています。3か月に1回配当金をもらえるということです。
なお、配当金は、SBI証券などVIGを保有している証券口座に振り込まれます。これから口座開設したい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
VIGの配当金推移
2009年〜2022年の配当金(分配金)の推移は次の通りです。
配当金支払日 | 配当金(USD) | 配当金(円) |
2009年3月27日 | 0.27600 USD | 37円 |
2009年6月26日 | 0.23100 USD | 31円 |
2009年9月28日 | 0.23100 USD | 31円 |
2009年12月24日 | 0.24100 USD | 32円 |
2010年3月29日 | 0.22500 USD | 30円 |
2010年6月28日 | 0.25000 USD | 33円 |
2010年9月28日 | 0.26700 USD | 36円 |
2010年12月27日 | 0.30600 USD | 41円 |
2011年3月29日 | 0.27200 USD | 36円 |
2011年6月28日 | 0.28300 USD | 38円 |
2011年9月27日 | 0.28500 USD | 38円 |
2011年12月23日 | 0.33200 USD | 44円 |
2012年3月28日 | 0.27200 USD | 36円 |
2012年6月27日 | 0.31700 USD | 42円 |
2012年9月26日 | 0.32300 USD | 43円 |
2012年12月24日 | 0.49800 USD | 67円 |
2013年3月26日 | 0.28800 USD | 38円 |
2013年6月26日 | 0.34500 USD | 46円 |
2013年9月25日 | 0.35700 USD | 48円 |
2013年12月24日 | 0.39800 USD | 53円 |
2014年3月26日 | 0.32900 USD | 44円 |
2014年6月25日 | 0.40800 USD | 55円 |
2014年9月24日 | 0.39000 USD | 52円 |
2014年12月22日 | 0.45800 USD | 61円 |
2015年3月25日 | 0.45900 USD | 61円 |
2015年6月30日 | 0.44200 USD | 59円 |
2015年9月25日 | 0.44300 USD | 59円 |
2015年12月28日 | 0.47500 USD | 64円 |
2016年3月23日 | 0.41000 USD | 55円 |
2016年6月23日 | 0.44600 USD | 60円 |
2016年9月15日 | 0.39300 USD | 53円 |
2016年12月27日 | 0.57700 USD | 77円 |
2017年3月31日 | 0.42500 USD | 57円 |
2017年6月23日 | 0.51800 USD | 69円 |
2017年9月21日 | 0.43000 USD | 58円 |
2017年12月22日 | 0.54610 USD | 73円 |
2018年3月27日 | 0.39670 USD | 53円 |
2018年6月29日 | 0.56570 USD | 76円 |
2018年9月27日 | 0.49810 USD | 67円 |
2018年12月18日 | 0.57720 USD | 77円 |
2019年3月29日 | 0.50970 USD | 68円 |
2019年6月18日 | 0.47340 USD | 63円 |
2019年9月25日 | 0.55230 USD | 74円 |
2019年12月19日 | 0.59850 USD | 80円 |
2020年3月27日 | 0.47400 USD | 63円 |
2020年6月30日 | 0.60060 USD | 81円 |
2020年9月30日 | 0.55750 USD | 75円 |
2020年12月22日 | 0.66440 USD | 89円 |
2021年3月23日 | 0.51310 USD | 69円 |
2021年6月22日 | 0.67500 USD | 91円 |
2021年9月21日 | 0.69950 USD | 94円 |
2021年12月21日 | 0.77250 USD | 104円 |
2022年3月22日 | 0.69390 USD | 93円 |
2022年6月22日 | 0.69490 USD | 93円 |
※1ドル135円換算
VIGは連続増配株への投資を行っていることからわかる通り、2009年から2022年までずっと増配を続けています。
なお、上記の推移表はすべて1ドル135円で計算していますが、1ドル80円の時代もありましたので、円建てで考えると実際はもっと増えていると考えて良いでしょう。
1口当たりの配当金は年間約360円
VIGの直近の配当金は1口あたり0.6949ドル(約93円)でした。
これが年4回あるため、90円×4回で年間約360円です。
VIGの配当金は増配傾向
VIGの配当金は増配を続けています。
2009年3月には配当金が1口0.276ドルでしたが、2022年6月には0.6949ドルと2.5倍以上になっています。
コロナショックやFRBによる金融引き締めなど、厳しい経済環境下では配当金額が下がっている時期もありますが、全体的な傾向としては右肩上がりの増配を続けています。
VIGの株価推移
はい、伸びています。
画像:VIGの設定来チャート
VIGはETFの設定が始まった2006年から右肩上がりの成長を続けており、2022年現在およそ3倍の価格に成長しています。
VIGは、10年以上連続増配銘柄で構成されているため、確かに株価は伸びにくいです。
ただし、VIGの投資先は「成熟企業で高配当を出し続けている銘柄」への投資ではなく、「連続増配銘柄への投資」のため、キャピタルゲインも狙うことができます。
VIGの株価推移のポイントは次の2つです。
ポイント
- S&P500のパフォーマンスと遜色ない
- 暴落時の下落幅は小さい
S&P500のパフォーマンスと遜色ない
画像:VIGとVOOの比較(5年間)
橙色がVIG、青色がS&P500連動ETFのVOOです。
VIGの方が少しだけ下回っている期間が多いですが、S&P500指数と遜色ありませんね。
VIGは連続増配がメインテーマですが、株価も堅調です。
関連記事:【初心者向け】S&P500の買い方を投資家税理士が解説
暴落時の下落幅は小さい
2008年のリーマンショック時は、S&P500は暴落しましたが、VIGの下落幅はS&P500よりすこしだけ小さいです。
また、2020年のコロナショック時についても、上記の図を見るとVIGの下落幅はS&P500の下落幅よりすこしだけ小さいです。
これは、VIGが連続増配株をテーマとしたETFのため、いざというときでも、投げ売りに走らない投資家が多いからだろうと考えられます。
VIGの株価が回復する理由は?
VIGは過去にも何度か大きく下落する場面もありましたが、連続増配銘柄のみの財務状況が安定している銘柄で構成されているため、株価は回復しています。
金融緩和の縮小が起こると、これまで以上に財務状況が安定している企業への投資が増えるという理由で、結果的にVIGの株価が上がりやすくなっていると考えられます。
VIGはどんなETF?
VIGは10年以上連続増配している銘柄に投資するETFです。
ティッカー | VIG |
正式名称 | Vanguard Dividend Appreciation ETF(バンガード米国増配株式ETF) |
投資先数 | 約250銘柄 |
運用会社 | Vanguard |
市場 | NYSE |
ベンチマーク | ETF tracks the S&P US Dividend Growers指数 |
設定年月日 | 2006年4月27日 |
経費率 | 0.06% |
直近の配当利回り | 1.85% |
株価 | 150.24ドル |
純資産額 | 約625億ドル |
取扱証券会社 | SBI証券など |
※2022年7月28日時点
VIGの構成銘柄一覧
VIGは、ジョンソンエンドジョンソンやマイクロソフトといった高配当の銘柄を中心に組み入れています。
上位10銘柄は次の通りです。
ティッカー | 銘柄 | 組入比率 |
UNH | ユナイテッドヘルス・グループ | 4.21% |
JNJ | ジョンソンエンドジョンソン | 4.08% |
MSFT | マイクロソフト | 3.87% |
PG | プロクター・アンド・ギャンブル | 3.04% |
JPM | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 2.89% |
V | ビザ | 2.74% |
HD | ホーム・デポ | 2.5% |
MA | マスターカード | 2.38% |
KO | コカ・コーラ | 2.14% |
PEP | ペプシコ | 2.01% |
概ね次の特徴が挙げられます。
ポイント
- 連続増配銘柄が多く含まれる
- GAFAは入っていない
- ディフェンシブ銘柄が多い
連続増配銘柄が多く含まれる
組入銘柄には、マイクロソフトやジョンソンエンドジョンソン、ウォルマートなど、堅調で安定的な成熟企業が多く含まれています。
VIGに組み入れられる銘柄は、連続増配年数が10年以上であるものが対象となるため、安心感のある老舗銘柄がそろっていますね。
たとえば、ジョンソンエンドジョンソンやコカ・コーラは連続増配年数が60年であり、プロダクター・アンド・ギャンブル(PG)に至っては66年で連続増配しています。
度重なる不況時も増配を続けてきた、つわものぞろいです。こうした銘柄が数多く含まれていることが、VIGが人気のETFとなっている理由です。
ちなみに、日本株で連続増配年数が最長となっている企業は花王の32年です。
コカ・コーラなどのように、米国には60年以上連続増配企業がいくつもあることを考えるとVIGの投資先の固さがわかりますね。
関連記事:【KO】コカコーラの配当金はいつもらえる?配当利回り3%と高配当
GAFAは入っていない
VIGの組入銘柄には、なんとGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が入っていません。
米国全体に投資するVTIやS&P500連動のVOO、IVVといったETFは、GAFA株の組入比率2割など当たり前のように入っていますが、VIGは少し毛色が異なります。
2010年代に圧倒的成長をしてきたGAFA銘柄は入っていませんから、これが、VIGがS&P500を下回っている要因ともいえます。
ただし、昨今のインフレ率の上昇によって、今後は金利が高くなる環境が続くと考えられます。金利が高くなると、PERの高いGAFAのようなハイテク株にとっては厳しい環境になるため、2010年代の成長を維持することは難しいと予測されます。
一方で、VIGは今まで株価が堅調に推移しており、かつ、配当もきちんと見込める銘柄がそろっているということで注目されています。
関連記事:【配当利回り0.5%】アップル(Apple株)の買い方等を解説
ディフェンシブな銘柄が多い
VIGの銘柄は10年連続増配株が主軸なため、堅調で安定的な銘柄がそろっています。
そのため、銘柄全体的に見るとそれなりにディフェンシブな銘柄になっているといえるでしょう。
上位10銘柄を見ても、ジョンソンエンドジョンソン、ビザにコカ・コーラなど、非常に有名で成熟している企業が多いです。
つまり、VIGの投資先は今後の急速な株価の伸びは考えにくいですが、暴落時には比較的強いと考えられます。
関連記事:【JNJ】ジョンソンエンドジョンソンの配当金利回りは3%、株価急落リスクは?
VIGとVYMの比較
米国ETFへの投資を考えている人の中では、VIGは高配当ETFである「VYM」と比較されることが多いです。
ポイントは次の3つです。
ポイント
- 配当金利回りはVYMの方が高い
- 過去5年の株価の伸び率はVIGの方が高い
- セクターは結構違う
表にすると次の通りです。
VIG | VYM | |
配当利回り | 約2% | 約3% |
株価の伸び率(過去5年) | 12.7% | 10.8% |
主な組入銘柄 | ビザ、マスターカード、コカ・コーラ、ペプシコなど | バンクオブアメリカ、ベライゾン(VZ)、エクソンモービル(XOM)など |
※上位10銘柄のうち、主に異なる組入銘柄
配当金利回りはVYMの方が高い
配当利回りだけを考えるとVYMの方が高いです。
なぜなら、VIGは「10年以上連続増配銘柄」をテーマに構成されていて決して「いま現在高配当であること」を目指したETFではないからです。
VYMは、投資先400社の米国株がいずれも高配当であることをテーマにしたETFです。そのため、配当利回りはVYMの方が高いです。
よって、配当利回りの高さを重視したい場合は、VYMに投資した方が良いでしょう。
関連記事:VYMの配当金はいつ、いくらもらえる?高配当ETFによる資産運用
過去5年の株価の伸び率はVIGの方が高い
画像:VIGとVYMの比較(5年間)
橙色がVIG、青色が高配当ETFのVYMです。
過去5年の株価の伸び率を見ると、VIGの方が断然伸び率は高いですね。
VYMは現在高配当の銘柄を集めたETFのため、成熟企業が主要銘柄となっています。
しかし、VIGは連続増配銘柄を集めたETFのため、堅調な成長を続けている企業が主要銘柄となっています。そのため、VIGでは株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うことができます。
セクターは結構違う
VIGとVYMの上位10社を比べると、次の違いがあります。
ティッカー | 特徴 |
VIG | マイクロソフト・ビザ・マスターカードなど情報技術セクターが多く組み込まれている |
VYM | エクソンモービル(XOM)・シェブロンなどエネルギーセクターが目立つ |
セクター別に比べてみると、次の通り、大きな違いがあります。
画像:VIGのセクター(2022年7月25日調べ)
画像:VYMのセクター(2022年7月25日調べ)
情報技術セクター | エネルギーセクター | |
VIG | 22.90% | 0.10% |
VYM | 6.60% | 9.20% |
VYMは現在高配当であることを重視するETFですので、高配当銘柄が多いエネルギーやユーティリティ(公益事業セクター)にも多く投資を行っています。
一方で、VIGは連続増配を重視しているため、現時点で高配当でなくとも、増配を続けている情報技術セクターにも振り分けていることがわかります。
「現在高配当」であることを重視するのか「増配を続けているのか」というETFのテーマの違いが、この2つのセクターの割合の違いに現れています。
VIGは魅力的なETFのひとつ
VIGは魅力的なETFの一つであり、メリットを3つ挙げると次の通りです。
ポイント
- 配当利回りは2%、安定的な配当金が期待できる
- S&P500と比べても見劣りしない値上がりをしている
- 10年連続増配株がテーマのため、堅実な値動きをしている
VIGはVYMなど他の高配当ETFと比較すると配当利回りでは劣後しますが、過去5年、株価のパフォーマンスではS&P500と遜色ありません。
VIGはSBI証券で簡単に買えるため、これから口座開設される方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
元本割れを避けたいならFunds
VIGは良いETFですが、今後絶対に値下がりしないとは限りません。
値下がりリスクを避けて配当金だけ欲しいというのであれば、値動きせず年利1-3%の利息を得られるFundsも選択肢としてアリでしょう。
上場企業等にお金を貸すことで、元本の返済+利息を年1~3%程もらうことができます。
関連記事:【年利3%】安定利息収入Fundsの評判は?税理士が解説
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