結果的に儲かった人もいますが、外貨建て保険はリスクの高い金融商品のため、万人におすすめできるものではありません。一旦この記事を読んで考え直しましょう。
この記事では、外貨建て保険について投資家税理士 坂根が解説します。
ポイント
- 外貨建て保険は一見すると利回りが高い
- ただし、次のリスクがある
- 円高になると損する
- 元本割れリスクがある
- 解約するとゼロになるケースもある
- 保険会社の倒産リスクがある
- 長期間、低金利でお金が拘束される
- 手数料が高い
- 外貨建て保険は国民生活センターに苦情が殺到している危険な保険
- 資産運用するなら自分で株の銘柄選定をした方が良い
- 元本割れリスクがあるので、原則元本割れしない年利1-3%の利息が手に入るFundsの選択肢もアリ
関連記事:【年利3%】安定利息収入Fundsの評判は?税理士が解説
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外貨建て保険とは
外貨建て保険とは、外貨(米ドルや豪ドルといった、日本円以外の通貨)の保険です。もちろん、外貨といっても日本の保険会社でごく一般的に取り扱われています。
支払時に日本円を外貨に換算し、満期時や解約時、保険事故の発生時に、外貨建ての保険金額等を、日本円に換算した金額で支払われることが多いです。
外貨建て保険と日本の円建ての保険の違いは、外貨建てで保険金額等が計算されるか、日本円建てで保険金額等が計算されるかです。
外貨建て保険のメリット
外貨建て保険のメリットは大きく次の二つと言えるでしょう。
- 外貨建てで見た場合の保険金額などが高い
- 円安になった時に利益が出る
外貨建てで見た場合の保険金額などが高い
外貨建ての保険は、うまくいけば、かけた保険料以上の保険金を受け取ることができます。
これは主に、日本円と米ドルなどとの為替レートの変動によるものですが、それだけでなく、外貨建て保険の保険は、米国債などで運用されていることが多いというのが挙げられます。
日本国債の金利は2020年現在0.005%ですが、この記事を執筆してる時点において、米国債の金利は10年物で1%程、30年物で1.7%ほどあります。
5年、10年前と比べれば米国債の金利も大幅に下がってはいますが、それでも日本国債の金利と比べれば歴然とした差があります。
そのため、円建てで運用するよりは米ドル建てで運用されていた方が、 米ドル建ててみた場合には、保険金額等が高く計算されることが多いです。
円安になった時に利益が出る
確かに利益が出る人はいます。
外貨で運用されているということは、円安になった時、利益が発生します。
1ドル100円の時に保険をかけ、同額の保険金額等が降りた際に1ドル120円の円安になっていた場合、差し引き1ドルあたり20円の利益が出ることになります。
1ドルあたり20円の差ということは、1万ドル(約100万円)であれば20万円、10万ドル(約1,000万円)であれば200万円の差になります。
そのため、円安がすすめば利益を出すことができます。
図:WEOによる世界経済の見通し
WEOによる世界経済の見通しによれば、日本の成長率は世界GDPを下回っています。
また、少子高齢化が続いているため爆発的な日本の成長はむずかしいように思います。
そのため、日本がこのまま爆発的に成長しないのであれば、長期的に見て円安(ドル髙など)に触れていく可能性は高いです。
日本で生活するにしても、他国の通貨で運用していくのは、これからの時代、決して悪い選択肢ではないと思います。
外貨建て保険のリスクと危険性
外貨建て保険の代表的なリスクと危険性を5つご紹介します。
ポイント
- 円高になると損する
- 元本割れリスクがある
- 保険会社の倒産リスク
- 長期間、低金利などでお金が拘束される
- 手数料が高い
円高になると損する
外貨で運用されているということは、円高になった時、損することになります。
1ドル100円の時に保険をかけ、 同額の保険金額等が下りた際に1ドル80円の円高になっていた場合、差し引き1ドルあたり20円の損失が発生することになります。
保険は長期間にわたって、1万ドル(約100万円)や10万ドル(約1,000万円)かけるケースも珍しくありません。
1ドルであれば20円の損失であっても1万ドルであれば20万円、10万ドルであれば200万円の損失です。
そのため、為替リスクは決して無視できるものではありません。
元本割れリスクがある
外貨建て保険は、保険料を支払った際に1万米ドル、満期が到来した時に1万米ドルで返ってくるといったようなものもあります。
しかし、支払時1万米ドル、 満期時に1万米ドルだとしても、そこには上述したような為替リスクがあります。
そのために日本円ベースで見た場合には、元本割れする可能性があります。
また、中には、数十年間解約してはいけない特約が付いている保険(解約した場合に返戻金が一切無い「無解約返戻金」など)も多くありますし、数十年間保険をかけないと元本割れするものも多いです。
保険会社の倒産リスク
保険会社が倒産した場合、その保険料は、生命保険契約者保護機構がある程度保証してくれます。ただし、一般的に保険金額が減少することになります(詳しくは生命保険会社の保険契約者保護制度Q&Aをご覧ください)。
わたしは以前40年ものの保険(満期時に3倍になって返ってくる)をかけたことがありますが、リスクが高いなと思い、2か月で解約してしまいました。
山一証券や北海道拓殖銀行といった大手金融機関がかつて破綻しています。つい最近ではJALなどの超大手企業が破綻しています。
銀行や保険会社も広告はバンバン出していますし身近な会社ですが、イコール儲かっているわけではありません。
これらの会社がいつ破綻したとしてもおかしくないため、何十年もの長期の保険契約を、私はおすすめしません。
長期間、低金利でお金が拘束される
外貨建て保険の運用先は米国債などです。
米国債は日本の証券会社から簡単に買うことができますし、その他、米国の ETF などで運用する方が、利回りは一般的に高くなります。
なので、運用リターンは低いことが多いです。
ちなみに、保険料を支払った際、その保険料の内、保険会社の儲けになる部分は当然ながら必要です。
そのため、保険料の一部は保険会社に手数料としてとられ、運用に回るお金はその残りとなります。
間に保険会社が入る分、当然ながら運用手数料が必要であり、リターンは低くなります。
ご自身で資産運用したい方は下記の記事をご覧ください。口座開設の方法から解説しています。
関連記事:米国ETFは初心者向け、おすすめ銘柄など資産運用に強い税理士が解説
手数料が高い
外貨建て保険は、運用されている際の手数料が高いケースが多いです。
外貨建て保険の積立保険部分は、資産運用を保険会社に委託しているにすぎません。
いわば、投資信託と同じです。
そして、保険会社が運用するということは当然ながら委託するための運用手数料がかかります。
日本円から米ドルに変換するための為替手数料、毎年管理運用するための維持手数料など、考えだしたらキリがありません。
外貨建て保険は、以下で説明するような苦情が昔からあります。
そのため、金融庁が手数料の開示を求めたという経緯があります(そのため、昔よりはきちんとしているものもあります)。
当たり前の話ですが、他人に資産運用を委託するということは、運用してもらうための手数料がかかります。
単純に資産運用の観点で言うのであれば、手数料をかけずに自身で運用に回した方が良いでしょう。
これから資産運用を始めたい方は下記の記事をご覧ください。資産運用方法を10種類ご紹介しています。
関連記事:【資産運用】1000万なら何がおすすめ?10種類比較
苦情殺到!外貨建て保険は危険
昔からよくある話ですが、いまだに、国民生活センターに次のような苦情が届いています(2018年度の相談件数だけで538件)。
【事例1】元本保証を約束され豪ドル建ての保険を契約したが、元本保証ではなかった
【事例2】定期預金をしたつもりが、外貨建て変額個人年金保険に加入していた
【事例3】将来必要な施設入居資金と伝えていたのに、外貨建て生命保険の契約だった
【事例4】高齢の父宛てに外貨建て生命保険証券が届いたが、父は加入した覚えがないと言う
【事例5】高齢独居の叔母が約 20 件の外貨建て個人年金保険などを次々に契約をしていた
【事例6】両親が外貨建て生命保険を勧誘されクーリング・オフしたが円高で損が出た出典:独立行政法人 国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」 令和2年2月20日 から抜粋
要するに、先ほど紹介したリスクが一切説明されなかったり、あるいは理解していないまま契約をし、失敗しているということです。
外貨建て保険を資産運用商品、高利回り商品と考えて契約すると痛い目にあうでしょう。
保険の選び方を保険会社やFPに相談してはいけない
保険の選び方を、保険会社やFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してはいけません。
保険会社はただの営利目的の会社であり、儲けるために保険を販売しているからです(もちろん、中には親身に考えてくれる人もいますが自身の利益にならないので確率が低いです)。
生命保険は手数料の高い金融商品であり、保険営業マンは、ただ自分の営業成績や、自社の利益追求のために保険を販売します。
また、無料保険相談をうたっているFPも同様です。
彼らは保険を販売することで紹介手数料(概ね、年額保険料の10%×加入期間(10年など)のケースが多いです)を受け取っています。
人が動けば必ずお金は発生します。
「無料」ができるのは国や区役所などの公的機関、ボランティア団体、もしくは高額な手数料をもらったり高額な商品販売に誘導するためのプレゼンテーションだけです。
無料相談というのは単なる「商談」であり、いかに手数料の高い保険に誘導できるかが、保険会社の営業マンやFPの腕の見せ所となっています。
かくいう私も、保険代理店に登録はしてあります。
そのため、「保険には加入しておきたい」という方で、もし保険加入が前提であれば無料で保険加入のご相談を承ります(保険会社から手数料をいただくため、相談料は無料で構いません)。
※保険加入が前提でないなら、相談料として30,000円をいただきます。
わたしは保険屋さんではありませんので、保険販売で儲けようという気がありません。
そのため、高額な手数料のダメな保険を販売する気はありませんし、しっかりご相談にのりますので、マトモな保険に加入しましょう。
保険加入はお問い合わせページからご連絡ください。
生命保険の選び方で失敗しないための2つのポイント
こんな生命保険の選び方をしていませんか?
- 「同僚がみんな生命保険に加入しているから同じものに入る」
- 「親から、「あんた、まだ生命保険に入ってないの?」と言われたから、言われたものに入る」
- 「友達が保険会社にいるから、彼の営業成績のために、彼がすすめたものに入る」
それでもいいのかもしれませんが、保険は高額な手数料の金融商品です。
保険料は、保険会社の広告費や従業員の人件費、立派なオフィスの家賃が上乗せして設定されています。
そのため、そんな選び方をしていると無駄に保険料を支払うことになります。
生命保険に入る際は、自分でも考えてから入りましょう。
生命保険の選び方で失敗しないためのポイントは、大きく次の2つです。
- 保障額は必要最低限にする
- 掛け捨てを選ぶ
保障額は必要最低限にする
保障額は必要最低限にしましょう。
そうしないと、保険料を無駄に支払うことになるからです。
そのため、家族構成から、必要な保障額を考えましょう。
- 結婚相手がいないのに、生命保険は必要でしょうか。
- 子供がいないのに、生命保険は必要でしょうか。
- 一家の大黒柱に万が一のことがあったとき、1億円も2億円も保険金は必要でしょうか。
- 子供が成人しているのに、まだ保険料を払う必要はあるのでしょうか。
ほとんどの場合、「いらない」ですよね。
もし万が一のことがあったときは、奥さんにも働いてもらいましょう。
生命保険は、万が一自分が亡くなったときに、家族の生活を支えるために備えるものです。
保障額を高くすればするほど、毎月支払う保険料も高くなっていきます。
子供が成人するまでの間にどれだけのお金が必要か試算し、逆算で必要な保障額を考えましょう。
掛け捨てを選ぶ
生命保険には、掛け捨て型と積立型の2種類があります。
しかし、生命保険の役割が、「万が一のことがあったときの備え」であることを考えれば、掛け捨て型一択です。
積み立て型の保険は、満期まで何も保険事故が起こらなかった場合に支払った保険料が戻ってくる仕組みです。
元本割れするものもありますが、105%~110%ぐらいになるものもあります。
一見するとお得ですが、積み立て型の保険は、掛け捨て型の保険に加え、高額な保険料(手数料)を支払うことによって成り立っています。
何十年も保険料を支払い続け、増えるお金は雀の涙です。
しかも、中途解約すれば元本割れを起こします(ものによってはゼロになります)し、保険会社が破綻したら、保険金が満額返ってこない可能性があります。
また、保険会社の運用先は、米国債など、SBI証券などのネット証券で簡単に購入できるものがほとんどです。
積み立て型の保険料を支払うぐらいであれば、掛け捨て型の保険に加入し、自身で米国債でも買っていた方が手数料がかからない分、資産運用の面からもお得です。
生命保険は資産運用のためではなく、万が一に備えるものということを理解しておきましょう。
なお、SBI証券の口座開設方法は下記の記事で解説しています。運用は自分でしたい場合はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
外貨建て保険は資産運用には向いてない
外貨建て保険が円建ての保険よりも有利なケースは確かにあります。
しかしながら、実態としては 「自称お金のプロ」であるFP(ファイナンシャルプランナー)が、手数料の高い保険を販売したいと考えて無料セミナーや無料相談を行い、ダメな外貨建て保険を販売しているという実態があります。
彼らは保険を販売するのが仕事だからです。
純粋な資産運用を行いたいのであれば、個人的には米国ETFや債券投資で良いと思います。
これから口座開設したい方は下記の記事をご覧ください。証券口座の開設方法をわかりやすく解説しています。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
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