いえ、本当ではありません。
積立NISAにはメリットがあります。
ただし、積立期間が長すぎるなど無視できないデメリットも多くあり、積立NISAが投資初心者向けかどうかは怪しいです。SBI証券で特定口座から始めるのが良いでしょう。
この記事では、投資家税理士 坂根が解説します。
ポイント
関連記事:【年利3%】安定利息収入Fundsの評判は?税理士が解説
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積立NISAにはデメリットしかない?
積立NISAにはメリットもありますが、無視できないデメリットも多くあります。
次の3点について解説していきます。
- 積立NISAのメリット
- 積立NISAのリスク
- 積立NISAのデメリット
積立NISAのメリット
積立NISAのメリットは、投資で得られる利益が20年間、非課税になるというところです。
通常、株で儲けが出た場合には、20.315%の所得税と住民税が税金としてとられます。
この税金は、株の売却益、配当金収入に対してかかります。
そのため、たとえば40万円投資し、50万円で売却した場合には10万円の利益が出るため、約2万円の税金を納めることになります(特定口座を選択すれば税金は証券会社が自動的に天引きしてくれるため、確定申告は原則不要)。
しかし、積立NISAの場合は、10万円儲かっても、2万円の税金を納める必要がないというメリットがあります。
大きなメリットではありますが、逆に言えば、これしかメリットがありません。
積立NISAのリスク
積立NISAのリスクを5つご紹介します
- 元本割れリスクは当然ある
- 赤字でも税金がかかる場合がある
- 株式市場の長期の右肩上がりが大前提の制度
- 20年の積立期間は長すぎる
- 20年経過直前に暴落すると大損害
元本割れリスクは当然ある
積立NISAの投資対象は元本割れする可能性がある商品です。
40万円投資しても20万円や10万円になってしまう可能性は当然あります。
「非課税だ、やったー」と言って投資した結果、コロナショックのようなタイミングで株価が暴落し、耐えられない、となる方も多くいます。
元本割れリスクを許容できないようでしたら、そもそも積立NISAはやめておきましょう。
最近だと、Fundsなど、比較的手堅く利息を得られる投資方法も出てきていますので、1円でも損したくないなら下記の記事をご覧ください。
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赤字でも税金がかかる場合がある
積立NISAは投資で赤字になっても税金がかかる場合があります。
これは、通常の株取引(特定口座)では起こらないことです。
通常の株取引は赤字なら税金がかからず、黒字の場合に税金がかかります。
しかし、積立NISAは赤字であっても税金がかかる場合があります。
NISAも同様ですが、積立NISAは20年の非課税期間満了時から株価が上昇した場合、売却時に税金がかかります。
現在 | 20年経過時(非課税期間満了) | その後売却 |
40万円 | 30万円 | 35万円 |
上記の例でいうと、35万円-30万円で5万円分の儲けが出たとみなされ、5万円×20.315%で約1万円の税金がかかります。
投資額が40万円で、35万円に値下がりしていてもです。あえてNISA、積立NISAを使うんじゃなかった、となるケースもあることは認識しておきましょう。
初心者はSBI証券の特定口座でS&P500指数連動ETF「VOO」の購入等が良いでしょう。特定口座であっても、自動で毎月購入の設定が可能です。
関連記事:【初心者向け】S&P500の買い方を投資家税理士が解説
積立NISAは株式市場の長期の右肩上がりが大前提の制度
積立NISAは株式市場の長期の右肩上がりが大前提の制度です。
株式市場は過去数十年間右肩上がりの成長を続けていますが、今後どうなっていくかは誰にもわかりません。
20年後に株価がいまより下落している可能性もゼロではありません。
そうすると、赤字になる可能性は当然にあります。
20年の積立期間は長すぎる
20年の積立期間は長すぎます。
もし今、新卒の22歳であれば積立期間終了時には42歳、30歳であれば50歳、50歳であれば70歳です。
それだけ長い期間、毎月お金を払って積み立て続けるのは結構しんどいです。
積立NISAは、毎年コツコツ積み立てて、ドルコスト平均法を活かすための制度です。そのため、基本的には株式市場が大きく上がろうが大きく下がろうが、コツコツ積み立て続けないと大きな効果が出せません。
しかし、20年あればライフスタイルは大きく変わります。
結婚や子育て、転職など、人生には様々なイベントがありますが、途中で積み立てるのをやめてしまうぐらいであれば、5年間短期勝負のNISA制度の方が良いでしょう。
20年経過直前に暴落すると大損害
積立NISAは、20年経過時点で投資額より増えていることで初めて効果を得られる制度です。
しかし、過去20年を振り返ってみても、日経平均株価やS&P500といった主要株価指数は、次のように下落しています。
- 2000年のITバブル崩壊:4~6割下落
- 2008年のリーマンショック:5割以上下落
- 2020年のコロナショックで:3割以上下落
どんな株価指数でも永遠に右肩上がりはあり得ません。今後も、10年に1度はこの手の大暴落が起こる可能性が十分にあります。
もし20年経過直前に暴落してしまったら、非課税の恩恵を受けるどころか大損害を被ります。
20年先のことなんて誰にも予想できません。「何も考えずに積み立てておけばOK」と考えておくと、後悔する可能性があるため注意が必要です。
積立NISAのデメリット
積立NISAのデメリットを4つご紹介します。
- 投資対象が限られている
- 年間の非課税限度額が少なすぎる
- 短期投資に向かない
- 赤字のときは通常の株取引より損する
投資対象が限られている
積立NISAは、投資できる先がかなり限定されています。
2020年12月23日に金融庁が公表した「つみたてNISA対象商品届出一覧」によると、193本しかありません。
投資対象が、一定の要件を満たした公募投信、ETFのみに限定されているため、たとえばAmazonやFacebook、トヨタ自動車などの個別株に投資することはできません。
ETFは、たとえば「日経平均株価」や「S&P500」などの指数に連動するものが多いです。そのため、1年後に爆発的に価格が上昇するということはありません。
つまり、大きく稼ぐことがむずかしいということです。
年間の非課税限度額が少なすぎる
積立NISAは、年間の非課税限度額が少なすぎます。
非課税になるのは、1年間の投資元本40万円までです。
また、投資対象が、コツコツ地味に増えていくと推測されるものに限定されているため、大きく稼ぐことはむずかしいです。
そうすると、40万円で投資って・・・
仮に10%増えても4万円にしかなりません。
他に株式投資などを行っており、追加で積立NISAをするのであれば選択肢として考えられますが、もし、はじめての投資で積立NISA一本と考えているレベルであれば、あえて積立NISAをする必要は無いかもしれません。
まだ、年間非課税枠が120万円あるNISAの方が金額的に良いでしょう。
関連記事:NISA(ニーサ)のデメリットと注意点を税理士が解説
短期投資に向かない
積立NISAは短期投資に向いていません。
なぜなら、年間40万円しか非課税枠がないからです。
40万円の非課税枠というのは、40万円分の株を購入した段階で使い切ってしまいます。
30万円に値下がりしたとしても10万円分の買い増しはできませんし、購入した40万円の株をすぐに売却した場合であっても、その非課税枠は復活しません。
20年間ずっと持っておくことを前提にした制度設計のため、デイトレードしたい人はもちろん、数か月や数年で売却したい人にも向いていません。
赤字のときは通常の株取引より損する
積立NISAは赤字のときに通常の株取引(特定口座)より損する制度です。
積立NISAは赤字のとき、次の2点のデメリットがあります。
ポイント
- 損益通算ができない
- 譲渡損の繰り越しができない
損益通算ができない
積立NISAは赤字のとき、損益通算ができません。
要するに、投資で赤字になるようだったら、積立NISAは使わない方が良い制度ということです(通常の税金がかかる特定口座の方が良いということです)。
通常の株の取引(特定口座)の場合、赤字について税金がかからないのは積立NISAと同じですが、儲けに対して税金がかかります。
ただし、通常の株取引では、1つの株や証券口座で赤字になった時であっても、他の黒字の株の利益と相殺(損益通算)することができるため、黒字になった株の税金を抑えることができます。
むずかしい制度ですが、もっと詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
関連記事:NISA(ニーサ)のデメリットと注意点を税理士が解説
譲渡損の繰り越しができない
積立NISAは赤字のとき、譲渡損の繰り越しができません。
通常の株の取引の場合、赤字を3年間繰り越して、翌年以降に得られた儲けと相殺することができます(=税金の支払いを抑えられます)。
しかし、積立NISAはそれができないため、赤字になったときは、損する仕組みになっています。
そのため、投資初心者は、まずはSBI証券の特定口座でS&P500指数連動ETF「VOO」の購入等が良いでしょう。万が一赤字になって損出しをしたとしても、3年間赤字の繰り越しができます。
関連記事:【初心者向け】S&P500の買い方を投資家税理士が解説
積立NISA口座の前に、まずは特定口座
積立NISAは、1人1口座しか開設できません。そのため、どこの証券会社で口座開設するかは慎重に選びましょう。
初心者は、まずは「特定口座」で口座開設し、慣れてからNISA口座もしくは積立NISA口座も視野に入れるのが良いでしょう。
特定口座であれば、儲けに対して20.315%の税金がとられますが、万が一赤字になったときのリカバリーも効きます。
また、儲けがでたときも証券会社が税金を天引きしてくれるため、株の売却益や配当金に対して、原則として確定申告を行う必要が無いため手軽です。
これから証券口座を開設したい方は下記の記事をご覧ください。証券口座の開設方法を画像付きでわかりやすくご紹介しています。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
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