一番のデメリットはパスワード管理や、どこの口座で何をいくら保有しているのか把握するのが面倒になることです。
ちなみに私は証券口座を5つ開設しています。SBI証券、楽天証券、DMM 株、マネックス証券、野村證券の5つです。
証券会社ごとに取り扱っている銘柄に差があるため、取り扱い銘柄が1社だけで足りないときは複数あると便利ですね。また、複数持ちの場合は年間5万円以上お得になる、日経新聞を無料で読める楽天証券の開設が人気です。
この記事では、投資家税理士 坂根が解説します。
ポイント
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
証券口座を複数持つってどうなの?
証券口座を複数持つ人は多くいます。「1つじゃいけないの?」と思うかもしれません。
1つの証券口座で買いたい銘柄が揃っているなど、目的を達成できるなら一つで十分です。
ただし、各社それぞれ手数料やアプリの使いやすさ、扱っている商品が異なります。
また、対面の証券会社か、ネット証券かで勝手が異なります。
そのため、いくつか証券口座を開設し、試してみるのも悪くはないでしょう。
(参考)証券口座はいくつまで持てるの?
証券口座はいくつでも持てます。
そのため、証券口座を10個作っても100個作っても問題にはなりません。
なお、証券会社によっては口座開設に審査がありますが、多くの証券会社ではほぼ形式だけのものになっており、簡単に口座開設をすることができます。
これから口座開設したい方は下記の記事をご覧ください。口座開設方法をわかりやすく解説しています。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
証券口座には複数の種類がある
証券口座には複数の種類があります。
代表的なのは次の3つです。
- 一般口座
- 特定口座
- NISA口座
初心者の方は特定口座かNISA口座を選んでください。
一般口座の場合、株式の購入金額、売却金額を自身で把握し、確定申告をしなければいけません。
ただし、特定口座の場合(口座開設時に「源泉徴収あり」、配当金受領方法を「株式数比例配分方式」を選択していることを前提)、株式の売却、配当金の受領について確定申告を行う必要はありません。
これは、株式の売却時や配当金の受領時に、証券会社が所得税・住民税の源泉徴収(天引き)を行ってくれるからです。
赤字の場合には確定申告をした方がお得ではありますが、サラリーマンの方が、不動産収入や仮想通貨の売却による儲けなど他の所得がなければ、株式売却や配当金を受け取っているからといって確定申告を行わなくても良いのです。
なお、NISA口座も同様に、株式の売却や配当金の受領については所得税の非課税となっているため、株式売却や配当金の受領についての確定申告は不要です。
なお、詳しい話は避けますが、NISA口座は赤字を出したときは損をする制度なため、初心者は特定口座で良いと思います。
証券口座を複数持つデメリット
証券口座を複数持つと次の二つのデメリットがあります
- 複数管理するのが大変
- 複数持つと源泉徴収をきちんとしてくれない
証券口座を複数持つと管理が大変
証券口座を複数持つと、パスワードなどの管理が大変です。
証券口座では大事なお金や証券を扱うため、「ログインパスワード」や「取引パスワード」など、1社につき複数のパスワードがあります。
もし複数の証券口座を開設するのであれば、このパスワードを複数社分管理することになります。
また、特定口座年間取引報告書も毎年各社から送られてくるか、ログインしてデータを発行しなければなりません。
そのため、思っているより管理が大変です。
証券口座を複数持つと源泉徴収をきちんとしてくれない
証券口座を複数持っていると、各社すべて黒字の場合にはあまり問題ありません。
特定口座では、自社の証券口座内での源泉徴収は適切に行ってくれますが、他社の証券口座の黒字や赤字の状況まで見て源泉徴収を行ってくれません。
そのため、片方の証券口座が黒字、片方の証券口座が赤字となっていると適切に源泉徴収を行ってくれず、確定申告した方が良いケースが増え、手間がかかります。
上記のようなデメリットがあるため、「証券会社はここだ」と決めたところ1つで良いと思います。
わたしも5つ証券口座を開設していますが、結局いまはSBI証券をメインに使っています。買いたい銘柄の取り扱いがない場合には他の証券会社を使いますが、複数の証券口座を管理するのが大変だからです。
証券口座を複数持つ場合の確定申告
1つの特定口座で証券取引を行っている場合、黒字であっても赤字であっても確定申告を行う必要はありません(ただし、赤字の場合には確定申告を行っておいた方が一般的にお得です)。
それでは、証券口座が複数ある場合の確定申告はどうなるのでしょうか。
証券口座を複数持っていても特定口座なら原則確定申告不要
証券口座を複数持っていても、それらがすべて特定口座であれば、特定口座がひとつしかない場合と同じく原則として確定申告を行う必要はありません。
証券会社が取引のたびに源泉徴収を行ってくれるため、そこで税金の処理が完了しているからです。
ただし、赤字が生じた時は申告しましょう。
ひとつの特定口座内で黒字と赤字が生じた場合、同年中の取引であれば証券会社が損益通算(黒字と赤字を相殺して税金計算)を行ってくれます。
ただし、たとえばSBI証券で黒字、DMM 株で赤字となっている場合、SBI証券では黒字として源泉徴収が行われます。しかし、DMM 株では赤字で源泉徴収なしで完了します。
複数の証券口座がある場合 | 利益 | 源泉徴収税額(20.315%) | 備考 |
SBI証券 | +100万円 | 約20万円 | 確定申告しなくても良い(DMM株の赤字と相殺するためには確定申告する必要あり) |
DMM 株 | -40万円 | 0円 | 確定申告しないと次のデメリットあり
|
合計 | +60万円 | 約20万円 |
このデメリットを考えると、基本的に証券口座は一つの方がやりやすいです。
証券口座を複数持つメリット
証券口座を複数持つメリットは、 主に次の二つと言えるでしょう。
- 買える銘柄が増える
- 運用商品に応じて最も安い手数料で購入することができる
買える銘柄が増える
証券会社によって、取り扱っている銘柄が異なります。
そのため、たとえばSBI証券で取り扱っていない商品をDMM 株で取り扱っていることもあります。
また反対に、DMM 株で取り扱っていてもSBI証券で取り扱っていないこともあります。
そのため、複数の証券口座を持つことで数多くの銘柄を買えるというメリットがあります。
なお、一般的にネット証券はIPO銘柄や社債の取り扱いが非常に少ないです。
IPO銘柄は、大手の対面の証券会社が主幹事証券となることが多く、割当数も多くなります(つまり、買える確率が高いです)。
また、社債についてもネット証券ではほとんど取り扱いがありません。あっても数えるぐらいです。
そのため、これらの銘柄を買いたい場合は、ネット証券と対面証券など、複数の証券口座を持つメリットはあると言えます。
例:欧州株の取り扱い
たとえばHERMES(エルメス)やLVMH(ルイヴィトン)はフランスの会社ですので、「欧州株」の括りとなっています。
これらはSBI証券、楽天証券、DMM 株、マネックス証券など大手のネット証券では取り扱っていません。そのため、基本的には対面の店舗を持っている証券会社で口座開設する必要があります。
また、欧州株は日本ではまだまだメジャーではありませんので、日本株や米国株と比べると手数料が高いです。
関連記事:HERMES(エルメス)株の買い方(SBI、楽天証券では買えない)
運用商品に応じて最も安い手数料で購入することができる
証券会社によって取扱手数料は異なります。
- 日本株の手数料が安い証券会社
- 外国株の手数料が安い証券会社
- 社債の手数料が安い証券会社
など、様々です。
そのため、購入する銘柄に応じて証券口座を使い分けるという手は考えられます。
もちろん、一般的にはネット証券の手数料が格安です。
ただし、ネット証券は各社そこまで差があるわけではありませんので、全体的に手数料の安いSBI証券が良いでしょう。
扱いやすい証券口座を選択することができる
証券会社によって、取引のしやすさ(アプリの使いやすさなど)が大きく異なります。
私は今まで5つ証券口座を開設しています。SBI証券、楽天証券、DMM 株、マネックス証券、野村證券です。
これらの使いやすさは人によると思いますが、個人的にはマネックス証券は非常に扱いにくかったです。
取引の手数料や扱っている銘柄も重要ですが、取引のしやすさ、アプリの見やすさも重要だと思います。
いくつかの証券口座を開設してみて、自分にとって使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
証券口座を複数持つべきか?
「証券口座を複数持つべきか?」私はどちらでも良いと思います。
買いたい銘柄を取り扱っている証券口座を開設できればそれで十分だと思います。
ただ、手数料の高い低いが気になるのであればSBI証券が良いでしょう。業界最安水準です。
これから口座開設したい方は下記の記事をご覧ください。口座開設方法をわかりやすく解説しています。
関連記事:【比較】証券会社のおすすめはどこ?口座開設の流れを解説
SBI証券と楽天証券の使い分け
最近では、SBI証券、楽天証券の2つを口座開設する個人投資家が増えています。
まず、手数料の安さだけを考えた場合、SBI証券の方が低いです。特に米国株の取り引きを行う場合には、住信SBIネット銀行を経由することで為替手数料が他社を圧倒する水準となります。
一方で、楽天証券の場合は楽天経済圏で買い物をする方はもちろん、日経テレコン(楽天証券版)で提供しているサービスを無料で受けることができます。
- 日本経済新聞(朝刊・夕刊)、日経産業新聞、日経MJなどの閲覧(3日分)
- 過去1年分の新聞記事検索
- 日経速報ニュースの閲覧
いずれはこの無料サービスが無くなったり、1,000万円以上の株式を保有している方などに限定されると考えられますが、日本経済新聞を普段から読んでいるサラリーマンの方であれば、これらは大きなメリットです。
通常料金(月額) | 日経新聞とのセット料金(月額) | |
日経新聞電子版 | 4,277円 | - |
日経産業新聞ビューアー | 3,463円 | 1,527円 |
日経MJビューアー | 2,037円 | 1,018円 |
<お得になる金額>
- 日経新聞電子版を購読している方:年間51,324円(月額4,277円×12か月)
- 日経新聞、日経産業新聞、日経MJの3点セットで購読している方:年間81,864円(月額6,822円(4,277円+1,527円+1,018円)×12か月)
日経新聞等を普段から読んでいる方であれば年間5万円以上お得になるので、ひどい話ですが、楽天証券で口座開設をしておき、取引だけSBI証券で行っている方もいます。複数持つならSBI証券、楽天証券の2つを持っておくのはアリでしょう。
複数の証券口座で取引しているなら移管して1つにまとめるのもアリ
証券口座には、「移管(いかん)」という手続きがあります
SBI証券とDMM 株の2つで口座を持っており、それぞれで株式を持っていたとしても、次のように移動させることができます。
<移管の一例>
SBI証券で保有しているトヨタ自動車の株式をDMM 株に移管するケース
SBI証券 | DMM株 | |
移管前 | トヨタ自動車 | ソフトバンク(9434) |
移管後 | 口座残高ゼロ | ソフトバンク(9434) トヨタ自動車 |
書類を提出したり、移管完了まで1週間程度かかるなど手間はかかりますが、複数の証券口座を開設している場合、株式を売却して現金化しなくても他の証券口座に移動させることができます。
移管手数料は移動する側、受け入れる側それぞれ有料のケースもあります。しかし、ネット証券の場合は顧客囲い込みのため、手数料が無料だったり、他の証券会社の出庫手数料を負担(=実質無料)してくれたりするケースが多いです。
そのため、いま使っている証券口座が微妙だなという場合には、新たに証券口座を開設し、そこにすべての株式を移管するというのはアリです。
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