
近年、不動産会社などが自社利益のために資産管理会社をすすめていますが、多くの方にとって資産管理会社は必要ありません。
この記事では、投資家かつ税理士の坂根が資産管理会社のメリットデメリットを解説します。
ポイント
- 資産管理会社を作っていいのはかなりの収入がある人、サラリーマンは作ってはいけない
- 資産管理会社の設立メリット:稼いでいる場合は所得税と法人税の税率差メリットをとれる
- 資産管理会社の設立デメリット:上場株は通常、個人で持っていた方が税率が低い
- 資産管理会社の設立デメリット:儲けていない人は税率差メリットなし
- 資産管理会社の設立デメリット:会社設立すると維持費がかかる
9割以上の人にとって資産管理会社は必要ありません。
そんなことより、お金を増やす、守る知識を蓄える方が重要です。
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資産管理会社とは?
資産管理会社は法律で定義づけられている用語ではなく、一般的に用いられている用語です。
資産管理会社は一般的に、株式や不動産、太陽光発電設備などの資産を持っている方が、その資産を管理するために設立する会社を指します。
ビジネスを行い利益をあげていく通常の会社とは異なり、資産管理会社では、株式などから得られる配当金収入、不動産から得られる賃貸収入のみが入ってくるイメージです。
資産管理会社で経費付け放題?
税理士でないエセコンサルタントや不動産会社の方の中には、こういうことを言う人がいます。
「資産管理会社を作って、プライベートの飲み食いの領収書や、そこらへんで拾った領収書を経費に突っ込めば、利益を圧縮できて節税になる」
これは節税じゃなくて脱税です。
法人税は、会社の儲けにかかる税金です。つまり、売上から経費を差し引いた金額に対して税金がかかります。そのため、プライベートの支払いを経費と偽って利益を圧縮すれば、確かに税金の支払いは減ることになります。
ただし、「領収書があれば経費になる」は間違いです。経費になる支払いは、事業に関係のあるものだけです。
また、「友人の〇〇さんはこれを経費に入れて申告しても税務調査で何も言われなかった」という人がいます。
これは、税務調査官が気が付かなかったから見逃されただけです。
税務調査は1日や2日など、日数が限られています。そのため、税務調査が来ても、すべての領収書は見られないこともあります。
ただし、他の人が大丈夫だったからといって自分も大丈夫とは限りません。
見つかって争いになったときは基本的に罰金が課せられますし、悪質であれば悪質であるほど罰は重くなっていきます。
事業に関係のあるものだけが経費です。
資産管理会社の設立メリット
資産管理会社の設立メリットはいくつかありますが、代表的なものをご紹介します。
- 所得税と法人税の税率差メリットをとれる
所得税と法人税の税率差メリット
個人の儲けにかかる所得税(住民税含む)は最大55%かかります。
一方で、会社の儲けにかかる法人税(住民税含む)は、20%~30%ぐらいです。
つまり、個人の所得がかなり大きい方であれば、その利益を会社に帰属させた方が税金の支払いは大きく抑えられます。
逆に言えば、稼いでいない人は資産管理会社を設立するだけ損するということです。
資産管理会社の設立デメリット
資産管理会社の設立デメリットについて、代表的なものをご紹介します。
- 上場株は通常、個人で持っていた方が税率が低い
- 儲けていない人は税率差メリットなし
- 会社設立すると維持費がかかる
上場株は通常、個人で持っていた方が税率が低い
上場株式の売却益や配当金にかかる税率は20.315%(所得税+住民税)です。
一方で、法人税は20%~30%ほどです。
そのため、上場株式については、通常個人で持っていた方がお得です。
また、個人でNISA口座や特定口座で取引している分については原則として確定申告の必要がありません。
しかし、上場株を資産管理会社にうつすと、取引の都度仕訳を行う必要がありますし、決算期末には時価評価を行わなければなりませn。
つまり、含み益が出ていれば利確していなくても税金の支払いが生じます。
儲けていない人は税率差メリットなし
先程説明したように、所得税の税率は最大55%、法人税の税率は20%~30%ぐらいです。
ただし、所得税は、儲けが少なければほとんど課税されません。最低の税率は15%です。
そのため、たいして儲けていないのであれば税率差メリットはなく、むしろ税負担が増えることになります。
会社設立すると維持費がかかる
会社を作れば、ペーパーカンパニーであってもやることが増えます。
個人の所得税であれば年1回、3/15までに所得税の確定申告を行うだけで済みますが、会社については法人税の確定申告に加え、源泉所得税の納付や法定調書、償却資産、年末調整が必要です。
また、会社の住所変更をしたときは法務局に変更登記が必要になり、税務署や都税事務所に届出書の提出が必要になります。
自身ですべて対応するのは時間がもったいないですし、ものによっては試してみても恐らくむずかしいです。
なお、会社を設立すれば、維持コストとして「均等割」という税金がかかります。
均等割は資本金の金額や地域によって差がありますが、最低年間7万円です。赤字であっても絶対にかかります。
太陽光発電設備を持っている会社であれば事業税の「収入割」が課税されます。
これらに加え、税理士や司法書士への報酬や登記にかかる登録免許税などの実費がかかります。
最低でも年間50~100万円は出費が増えると覚悟しておくと良いでしょう。
まともなビジネスをやるのであればともかく、単なる資産管理会社でそれだけのリターンを得ることは簡単ではありません。やはりサラリーマンが会社設立したところでメリットはほとんどありません。
恐らく、不動産会社や怪しいインフルエンサーにそそのかされてその気になってしまっているだけです。
資産管理会社を作って良い人は?
資産管理会社を作って良い人は、次のような人です。
ポイント
- 一般的には数億円などそこそこまとまった金額を持っている人
- 所得税の税率が高い人(つまり、収入が多くあり、個人と法人に所得分散をしたい人)
- 不動産賃貸収入が多額にあるような人 など
たいして稼いでいないサラリーマンが、何を思い立ったかいきなり会社を作るケースもありますが、ただ負担になるだけです。
儲けていない人は会社を作らない方が良いでしょう。
資産管理会社を作る前にまずは収入を作りましょう
資産管理会社は収入が多額にあってはじめて意味を成します。
なので、いま収入が少ない人は、まずは収入を作ることから始めましょう。
【資産運用】1000万円なら何がおすすめ?9種類比較:税理士が解説で、資産運用方法をいくつかご紹介していますので、参考にご覧ください。
また、いまの生活に少し足しが欲しいということであれば高配当株投資も選択肢にあがるかと思います。
その場合は、株の配当金生活は可能?いくら必要?高配当株の利回りは?税理士が解説で配当金生活に必要な資金や具体的な高配当株銘柄をご紹介していますので、少しでも収入を増やしたい方はぜひご覧ください。
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