太陽光発電設備の市場は終わったかに見えましたが、中古市場が活況な今、中途売却が注目を集めています。
この記事では、太陽光発電設備を2期保有する投資家税理士 坂根が実際の経験談をもとに解説します(実際に提示された見積もりも紹介しています)。
結論:太陽光発電設備は売却を検討すべき
太陽光発電設備は2023年9月現在、非常に高額で取引されています。
数年前の新規買い付けの際は、FIT(固定価格買取制度)で安定した収益が期待されると見込まれてはいたものの、どのくらい発電されるかは実際にやってみないとわからない状態でした。
しかし、中古市場では過年度の実際の発電量のデータがあります。
そのため、発電量、つまり収益の予測が容易です。なので買い手もつきやすく、融資も受けやすい状態が続いています。
そのため、きちんとした値段がつくのが2023年9月現在の状況です。
もし現在太陽光発電設備を持っていて、メンテナンス等を外注していた結果利益が出ていなかったとしても、他の人(買い手)が管理する場合にはメンテナンス費用がほとんどかからず、利益が出る場合もあります。
太陽光発電投資という市場がメジャーになってきたからこそ、現在売却すると想定以上の金額になるかもしれません。
ちなみに私はタイナビで売却の仲介を依頼しています。
太陽光発電設備売却のメリット
太陽光発電設備を売却するメリットを2つご紹介します。
- 不要なリスクの回避
- 収益の先取り
不要なリスクの回避
太陽光発電投資はFIT期間20年と、非常に長い投資です。
売電収入は、毎日太陽がのぼる時間はそこまで変わらないでしょうから確かに安定はしています。
しかし、20年の間に(保険があるとはいえ)台風など災害リスクもありますし、税制改正や法改正によるルール変更があるかもしれません。
また、今はFIT期間終了後に11円/kWhなどで電気を買い取ってくれる業者もあり、FIT期間の最後の年度である15.4円と比べてもそこまで収益性が落ちるとは言えません。
現在、年間売電が200万円だとしたら年間142万円の収益を生み出してくれるわけですから、FIT期間終了後も高単価で売電できるのであれば非常に収益性が高い投資となります。
ただ、20年という期間を考えると不要なリスクは回避しておきたい心情があります。
関連記事:太陽光発電は儲かる? アプラス融資など2基保有投資家が解説
収益の先取り
太陽光発電投資は、ローン返済など投資額を回収するまでに10年15年かかります。
そのため、投資額や頭金によりますが、きちんとキャッシュフローが回っていても1基あたり年間100万円~200万円程度しか増えない場合が多いでしょう。
わたしは60歳まで引き出せないiDeCoをお勧めしませんが、同じように、人生一度切りですから、20年の投資は先が長すぎでもったいないと思います。
今までの売電に伴う収益と、太陽光発電設備の中途売却金額を考えた投資全体でプラスなら売ってしまって良いでしょう。
関連記事:iDeCo(イデコ)をおすすめしない7つの理由を税理士が解説
太陽光発電設備の売却を検討するタイミング
太陽光発電設備の売却を検討すべきタイミングについて説明します。
太陽光発電設備の寿命
太陽光発電設備はだいたい10年程度でパワコンの更新が必要と言われています。
だいたい1機あたり22万円です。これらの更新タイミングも売却検討のタイミングの1つと考えられます。
11年目からの撤去費用積立金
太陽光発電設備を運用してから11年目以降、撤去費用積立金の徴収が始まります。
FIT(固定価格買取)の単価によりますが、概ね売電金額の5%程度です。
そのため、年間100万円の売電金額であれば5万円、年間200万円の売電金額であれば10万円かかります。
FITが終わるまでの10年間で1台100万円程度は撤去費用の積み立てが必要になるので負担はそこそこ大きいです。
太陽光発電市場の動向
太陽光発電市場は、2012年にFIT(固定価格買取制度)が始まったばかりです。また、かつては中古物件には融資がつきにくかったという事情があります。
しかし、2023年現在は融資がつきやすくなっており、中古市場が成熟してきています。
そのため、売却を検討するタイミングとして良いでしょう。
太陽光発電に関する法律や規制の変更
太陽光発電に関する法改正としては、近年だと次の2つが挙げられます。
- 事業税の所得割の課税
- インボイス制度の導入
事業税の所得割の課税
令和2年4月1日以後に開始する事業年度から、太陽光発電設備から得られる収入に対して収入割だけでなく、所得割も課税されることになりました。
以前は太陽光発電設備から得られる収入金額をベースにした課税のみでしたが、所得割も課税されることとなり、太陽光発電投資による儲けに対しても課税が行われるようになりました。
金額としては数万円程度になるでしょうから大きな金額とは言えませんが、太陽光発電投資を行う事業者を狙い撃ちにする税制改正が行われました。
インボイス制度の導入
令和5年10月1日以後、インボイス制度が導入されます。
非常に簡単に説明すると、現在税込み15.4円で売電していて、かつ、消費税の申告をしない場合には今後14円分しかもらえなくなる可能性があります(消費税の申告をする場合は消費税分1.4円を納税する必要があるので、手取りは同じく14円となります)。
結局は値決めの問題であり、2023年現在は消費税相当額込みの金額で買い取ってくれる(つまり消費税の申告をしなくても15.4円のまま)ようですが、あと17年程度たったあとどうなるかはわかりません。
そうなると単純に収入が10%減ることになります。
税制改正というのは毎年行われ、そのため私たち税理士の関与が必須となりますが、17年も先の話しになると本当にどうなるかわかりません。
太陽光発電設備の売却ステップ
太陽光発電設備を売却するためのステップについて説明します。
- 評価と査定
- 必要な資料の提出
- 買取契約
- 決裁
簡易査定
私が売却の仲介を依頼したタイナビの例ですが、概ね次の内容をフォームに書き込むだけでOKです。
- 物件のある都道府県
- パネル容量
- 売電単価
- 年間売電実績
- 太陽光発電設備の系統連系をした年月
- 賃貸か所有か
その後、簡易査定による売却金額が送られてきます。
参考に、わたしが保有していた物件の場合次の金額でした。
- 賃貸物件(買取:1,550~1,600万円、仲介:1,750~1,820万円)
- 都道府県:福島県
- パネル容量:99kW
- 売電単価:19.8円
- 連携年月:2020年1月
- 所有物件(買取:2,050~2,120万円、仲介:2,340~2,350万円)
- 都道府県:茨城県
- パネル容量:98.82kW
- 売電単価:23.1円
- 連携年月:2020年1月
仲介手数料は3%のため1基60万、70万円かかりますが、タイナビは登録者が多いので自分で買い手を見つけるより楽で良いでしょう(というより、自分で契約交渉は大変すぎる)。
なお、タイナビが直接買い取りする場合には現金化が早いですが、その分若干買いたたかれます。急いでいなければ仲介の方が良いでしょう。
なお、この金額で売却できた場合には、私は仲介手数料を払っても投資額に対してきちんと数百万円単位で売却益が出ます。
そのため、売ってしまった方が良いと結論を出しました。
必要な資料の提出
太陽光発電設備を購入した際の資料を出す必要があります。
購入時の契約書、メンテナンス契約書、パネル・パワコンの保証書などを求められます。
また、売電実績を確認されるため、パワーグリッドのサイトやsmartPV、エコメガネなど売電実績を提示する必要があります。
買取契約
タイナビがサイト内で買い手を見つけてくれるため、あとは任せるだけです。
買い手が見つかり、条件があえば契約を結びます。
決裁
決裁が行われ、売却金額が振り込まれます。
太陽光発電設備を持っているなら売却を検討すべき
太陽光発電設備を既に持っている場合、きちんと利益が出ているか、いま一度確認をしましょう。
また、利益が出ていてもいなくても、無料なのでとりあえずタイナビで簡易査定をしてもらいましょう。
想定より高い金額で売却でき、早期に投資回収をできるかもしれません。
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