相続が起こった際、葬儀費用がいくらかかるのか、誰が支払わなければならないか、気になりませんか?
この記事では、相続手続きをサポートしている秋田市の税理士 坂根が解説をします。
ポイント
- 葬儀費用の平均額は200万円
- 葬儀費用は喪主が負担することが多い
- 相続税の計算において、葬儀費用は経費になるので領収書は取っておいた方が良い
秋田税理士事務所グループでは、税理士や司法書士などの専門家グループが、相続手続きをまるっとサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
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葬儀費用の平均額は200万円前後
現在、葬儀の種類は非常に多くありますが、葬儀費用の平均額は200万円前後と言われています。
葬儀の種類には、たとえば
- 一般的な葬儀である「一般葬」
- 家族や親しい間柄の人だけで行う「家族葬」
- その他にも、「社葬」や「団体葬」「自然葬」や「骨葬」など
があり、葬儀の種類は多種多様化が進んでいます。
もちろん、地域や葬儀の種類によって料金差があるため一概には言えませんが、(財)日本消費者協会が2017年に実施した、葬儀についてのアンケート調査結果があります。
これによれば、葬儀費用の平均額は200万円前後と言われています。
なお、私がかかわってきたお客さんを見ると、60万円だったり140万円だったり、200万円かかっていないケースが多い印象はあります。
ただし、やはり人によっては2,000万円ぐらい行く方もいれば、中曽根元首相の葬儀には1億9,000万円かかっているそうです。葬儀費用がいくらかかるかは、どのぐらいの規模で葬儀を行うかが大きく影響すると言えるでしょう。
葬儀費用は誰が支払うべき?
葬儀費用は誰が支払わなければならないという決まりはありません。
しかし、喪主となる方が支払うことが多いようです。
ただし、葬儀費用の負担に関して、
- 1人で負担するのか
- 兄弟みんなで負担するのか
など、葬儀費用をめぐってトラブルになる場合もあります。
可能であれば、生前に家族全員で話し合いの機会を作ると良いでしょう。
相続税の計算における葬儀費用(葬式費用)の取り扱い
相続税の計算上、葬儀費用は経費のように取り扱います。
具体的には、相続税法で認められる葬儀費用については、かかったお金の10%から55%分の相続税を減らすことができます。
相続税は、故人の財産額に対して10%から55%の税金がかかる仕組みになっています。
そして、相続税は故人の財産額に応じて課税される税金ですが、葬儀費用のうち一定のものは経費として財産額から差し引くことができます。
つまり、相続税法で認められた葬儀費用については、その支払い額の10%から55%の税金を抑えることができます。
その為、相続税申告を考え、葬儀にかかったお金の領収書などを保存しておくことが大切です。
ただし、葬儀にかかったお金の全てを相続税申告上の経費として扱えるわけではありません。
判断がむずかしいものもありますので、申告の際に税理士に相談すれば構いませんが、どのようなものが相続税申告の経費になるのか、簡単に確認していきましょう。
※相続税の仕組みについては、相続税はいくらまで無税?いくらからかかる?秋田の税理士が解説。
経費になる葬儀費用とは?
葬儀の形態には多くの種類がありますが、一般的に、下記のような葬儀費用であれば相続財産から差し引くことができます。
- 火葬・埋葬・納骨に伴い発生した諸費用
- 遺骨や遺体の回送費用
- お寺や神社などに支払う読経料・お布施・戒名料など
- 遺体捜索・運搬費用
- 葬式を行うことに伴い発生した必要不可欠な費用
- 会葬時の参列者へのお礼品代
- 受付やお世話をしてくれた人への心付け
- 葬式などと同日に行われる繰上初七日に伴う費用で、告別式などの費用と区別できないもの
以下で、具体的に解説していきます。
① 火葬・埋葬・納骨に伴い発生した諸費用
火葬を行う施設の使用料や斎場から火葬場までのマイクロバスなどの使用料、死亡診断書を発行してもらう際の手数料や納骨、埋葬時における諸費用が該当します。
② 遺体や遺骨の回送費用
遺体や遺骨を回送するにあたり発生する霊柩車や寝台車の使用料など
③ お寺や神社などに支払う読経料・お布施・戒名料など
読経料やお布施、戒名料も葬式を行うことに伴い施与したものとされますので、葬式費用の対象になると考えられます。
しかし、あまりにも高額な場合には控除対象外となる場合があるので注意が必要です。
④ 遺体捜索・運搬費用
事件や事故に巻き込まれたりすることで行方不明などの場合に行われる捜索活動にかかる費用も控除の対象となります。また、遺体発見時での運搬費用も対象となります。
⑤ 葬式を行うことに伴い発生した必要不可欠な費用
葬式や通夜・告別式などにおいて発生する葬儀会社に支払う費用やその時に発生する飲食費用なども控除の対象です。
また、喪主が負担した供花代も、控除対象になると考えられます。
葬式においては故人の周りを生花で彩る風習が一般的であり、葬式に欠かせない費用といえるからです。その為葬儀会社に依頼して生花を飾るための費用は控除の対象となります。
一方で、ケースバイケースですが、喪主以外の人が供花代を負担している場合、「必要不可欠な費用」に該当せず、控除することができないという考え方がありますので注意が必要です。
⑥ 会葬時の参列者へのお礼品代
会葬時に参列者に渡すお礼品なども対象となりますが、後日、香典返しを行う場合に限り認められると考えられます。
なお、後述にもありますが、香典返しは控除の対象外となっています。後日、香典返しを行わない場合には会葬時のお礼品が香典返しとみなされ、対象外になると考えられます。
⑦ 受付やお世話をしてくれた人への心付け
葬式では様々な人へお手伝いをしてもらうことがありますが、その際にその人たちに渡す心付けも控除の対象となります。
しかし、控除が認められるのは社会通念上相当額ですので、あまりに過大な心づけは控除することが認められない可能性があります。
⑧ 葬儀などと同日に行われる繰上初七日に伴う費用
葬式によっては初七日を同日に行う場合があります。
本来初七日などの法要にかかる費用は控除の対象外ですが、葬式と初七日を同日に行う繰上初七日の場合、葬式にかかる費用と初七日にかかる費用を区分することができない場合、一般的には控除することができると考えられます。
控除ができない(経費にならない)葬儀費用とは?
上述した通り、控除が認められる葬儀費用は、葬式などに必要不可欠な費用とされています。
したがって、葬式などにあまり関係がない費用や、必要のない費用は葬式費用として相続財産から差し引くことはできません。
経費にならない葬儀費用としては、たとえば下記のものが挙げられます。
- 墓石や墓地などの購入費用
- 香典返しにかかる費用
- 初七日、四十九日などの法要に関する費用
- 司法解剖などの医学上等による処置につき要する費用
① 墓石や墓地などの購入費用
墓石や墓地などを建てる費用は必要不可欠な費用といえますが、あくまでも控除の対象となるのは葬式に関係がある費用です。
したがって、墓石や墓地などの購入費用等を控除することはできません。
② 香典返しにかかる費用
香典返しは葬式に必要不可欠な費用ではないとされており、控除することはできません。
③ 初七日、四十九日などの法要に関する費用
初七日や四十九日などの法要は一般的に行うことが多いですが、葬式との関係性が無い為、控除することはできません。
④ 司法解剖などの医学上等による処置につき要する費用
司法解剖などは医学や裁判上行わなければならないことがありますが、これらの費用は一般的な葬式等に要するものでないため、控除することはできません。
葬儀費用を控除する為に領収書が必要
上記のように、葬儀費用には様々なものがあり、それぞれの内容に応じて控除が可能か、不可能かの判断が必要であり、相続税の申告を行う際は、これらの支払いを行ったことを証明しなければいけません。
確実に葬儀費用を支払っているにもかかわらず、そのことを証明するものが全く無い場合には相続税申告上の経費とすることができませんので、葬式やその他費用を支払った場合には、相手先から領収書や明細などをもらい、保管しておきましょう。
葬儀費用の領収書がもらえない場合はどうする?
葬儀関連費用を支払った際に、中には領収書などを発行してくれない場合もあります。お寺などへ渡すお布施なども領収書が発行されない場合がほとんどです。
そのような場合には出金伝票など簡易的な伝票に支払日、支払先、支払金額、その内容を記載した上で保管しておくようにしておきましょう。
伝票がない場合にはノートやメモ帳に、支払日、支払先、支払金額等を記したメモを残すようにしておきましょう。
ただし、嘘の金額を書いた場合、バレる可能性があります。必ず、実際に支払った金額を残してください。
税務署は、「反面調査」といって、支払先に対して調査を行うことができます。それによって、支払いを受けた相手に確認すればバレてしまいます。嘘の金額は絶対に書かないでください。
葬式費用を誰が負担しているかで相続税の取り扱いが異なる
葬儀費用は、誰が負担したかで相続税の取り扱いが異なる場合があります。
また、葬儀費用をだれが負担するかで親族間のトラブルが起きることもありますので、生前に、遺言書の作成などの相続対策を行っておくことが重要です。
なお、税理士などの専門家にいつ相談すれば良いのかわからない方も多いですが、
- 生前に、相続税を踏まえた遺言書の作成
- 亡くなった後、相続税の申告や不動産の相続登記
などが挙げられます。
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