相続税

【債務控除】負債がある場合の救済措置を相続に強い東京の税理士が解説

悩んでいる方
お父さんは経営者だったので、借金もあるみたいで、、、借金は1億円ですが財産は2億円あるので何とか返済できそうですが、相続税の支払いは財産の半分をとられると聞いたこともあります。相続税も考えるとむしろマイナスになってしまう(?)ので、相続しない方が良いのでしょうか?

相続税は、財産2億円から借金1億円を差し引いた1億円部分にかかります。そして、1億円に対してかかる相続税は数百万円から1,200万円程度です。どのような財産があるかにもよりますが、基本的には相続した方が良いでしょう。

この記事では、次の3点について税理士 坂根が解説します。

<ポイント>

  • 借金は相続税の「債務控除」で相続税の支払いを減らせる
  • 債務控除の対象になるもの、ならないものは?
  • 債務控除を行うために用意しておくべき書類

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相続税の債務控除とは

債務控除とは、相続税の計算上、相続税が課税される金額から借金などの債務を差し引くことができる仕組みのことです。

相続税は、簡単に言えば次の金額に対して課税されます。

「遺産」 ー 「債務」など ー 基礎控除額(最低3,000万円)

つまり、亡くなった方の遺産から借金などの債務を差し引き、その金額から基礎控除額を差し引いた残額について相続税が課税されます(相続税の仕組みについて詳しく知りたい方は相続税の早見表 いくらからかかる?いくらまで無税?税理士が解説をご覧ください)。

そのため、「債務」はできる限り集計しておくことで相続税の支払いを減らすことができます。

なお、「債務控除」については、相続税法第十三条において、次の通り規定されています。

第十三条 相続又は遺贈(~略~)により財産を取得した者が(~略~)、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用

引用:e-gov相続税法 ※一部省略

債務控除については上記の通り、次の2種類が定義されています。

  1. 狭義の債務控除:太字部分「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)」
  2. 葬式費用:「被相続人に係る葬式費用」

同じ相続税法第十三条ですが、一般的に「債務控除」と「葬式費用」と呼び、区別されていますので、これからは、狭義の「債務控除」の部分に絞って解説していきます。

なお、債務は「借金」だけが対象になるわけではありませんので、これから、債務控除の対象になるもの、ならないものについてご紹介していきます。

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債務控除の対象になるもの

財産から控除できる債務は、「亡くなった方が亡くなった日時点に抱えていた債務で確実と認められるもの」です。

そのうち「債務」とは、いわゆる「借金」に限られません。具体的にどんなものが債務控除の対象になるのか、一例を挙げると次の通りです。

  • 固定資産税・住民税などの公租公課
  • 賃貸不動産の敷金(不動産賃貸業を営んでいる場合)
  • 入院費用などの未払医療費
  • 電気・ガス・水道などの未払金
  • クレジットカードの清算金
  • 老人ホームの未払金
  • その他の借金

 

固定資産税・住民税などの公租公課

亡くなった日時点に未払いであった固定資産税や住民税などの公租公課は、債務控除の対象になります。

固定資産税はその年の1月1日時点の固定資産の所有者に対して、住民税はその年の1月1日現在の居住地で居住していた人に対して課税されるため、1月に確定した税金を年の途中にまだ支払っていない場合には債務控除の対象となります。

なお、亡くなった方が、翌年以降に納めることになる予定であった所得税は、相続人による準確定申告によって後日税額が確定しますが債務控除の対象となります。

 

賃貸不動産の敷金(不動産賃貸業を営んでいる場合)

亡くなった方が不動産賃貸業を営んでいた場合、その賃貸不動産の預かり敷金は債務控除の対象となります。

賃貸不動産の敷金は賃借人から一時的に預かっているものであり、契約満了時には賃借人へ返還しなければらならいものです。

亡くなった日時点で敷金を預かる賃貸契約を締結している場合は、その契約満了時に預かった敷金を返還しなければならないということが確定しているので、相続税の計算上債務として扱われます(ただし、細かい論点があるため注意が必要です)。

 

入院費用などの未払医療費

亡くなる前に入院していた病院へ支払う入院費用や医療費は、その後支払うことが確定しているため債務控除の対象となります。

亡くなる前の最期の入院費用など、後日清算となる部分はもちろん債務控除の対象となりますが、 それ以前に支払った入院治療費などで相続人が立て替えていたものなども債務控除の対象とすることができると考えられます。

立替払いしていた病院の入院費用や医療費がある場合は、その分も忘れずに領収書などを取っておくと良いでしょう。

 

電気・ガス・水道などの未払金

電気・ガス・水道などの料金も債務控除の対象です。

債務控除の対象となるのは、亡くなった日までの利用分となります。

他にも携帯電話料金やインターネット料金などの未払い分も控除の対象になると考えられますので、銀行の取引履歴などで料金引落しサービスを利用しているものがないかチェックしておくと良いでしょう。

遺産全体のボリュームと比べると細々した金額になることも多いですが、しっかり細部まで申告することで、税金の支払いが減り、税務署の心証をよくすることもできます。

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クレジットカードの清算金

クレジットカードを持っている場合には、生前の利用分の支払い(まだ引き落としがされていないもの)を債務控除の対象とすることができます。

各種料金をクレジット払いにしていることもよくありますが、明細を確認することによって。不要になったサービスの解約漏れを防ぐこともできます。

そのため、クレジットカードの利用明細は必ずチェックしておきましょう。

 

老人ホームの未払金

亡くなる直前に老人ホームに入居していた場合、亡くなった日時点でまだ支払っていなかった費用は債務控除の対象となります。

なお、老人ホームに入居する際に入居一時金を支払っている場合には、入居一時金の返還を受けることもあります。その際、入居一時金の返還がある場合には課税される遺産に含まれるため、清算書をよく見て申告に含める必要がある点には注意が必要です。

 

その他の借金

消費者金融や友人・知人への借金がある場合には、その借入金も債務控除の対象になります。

金銭消費貸借契約書などがある場合は、亡くなった日までの契約書で定められた利息分も控除の対象になると考えられます。

ただし、その借金が親族間での場合は債務とは認められない場合もあるため、あらかじめ税理士などの専門家に相談しておくことをオススメします。

 

債務控除の対象にならないもの

亡くなった方が亡くなった日時点で未払いであった債務は基本的に債務控除の対象となります。

ただし、中には相続税の計算上、債務として差し引くことができないものもあります。

一例を挙げると、次の通りです。

  • 墓地や墓跡、仏壇の購入費用
  • 団体信用生命保険付きの住宅ローン
  • 遺言執行者へ支払う執行報酬
  • 税理士や司法書士・弁護士へ支払う報酬
  • 保証債務

間違って債務控除の対象にすると税務署から罰金を求められることになりますので、確認しておきましょう。

 

墓地や墓跡、仏壇の購入費用

亡くなった方のために購入したお墓や仏壇などの費用は債務控除の対象にはなりません。

これは、墓地や墓石、仏壇、仏具などは相続税のかからない非課税財産となるためです。

墓石が非課税となるため、仮にこれらの支払いが未了であっても、債務控除の対象にすることができない(二重控除にしない)ためです。これは、亡くなる前に買っても、亡くなったあとに買っても債務控除の対象にはなりません。

 

団体信用生命保険付きの住宅ローン

団体信用生命保険のついた住宅ローンも相続税の計算では債務控除の対象外となります。

団体信用生命保険付きの住宅ローンが残った状態で亡くなった場合、住宅ローンの残債は団体信用生命保険から住宅ローンの残債が支払われる仕組みとなっています。

つまり、相続人は住宅ローンを返済する必要がなくなるため、相続税の計算でも債務控除の対象にすることができないと考えられます。

 

遺言執行者へ支払う執行報酬

遺言書に遺言執行者・執行報酬額が定められている場合であっても、遺言執行にかかる報酬を債務控除の対象にすることはできません。

遺言執行は、亡くなってから行われるものです。そのため、「相続開始の際、現に存するもの」でないことから債務控除の対象にはなりません。

遺言執行について詳しく知りたい方は遺言執行者とは?「専門家に任せて安心」相続税に強い税理士が解説をご覧ください。

 

税理士や司法書士・弁護士へ支払う報酬

相続税の申告にかかる税理士費用や不動産の相続登記にかかる司法書士費用、または相続争いによる弁護士報酬などは、相続税の債務控除の対象とはなりません。

これらも、「相続開始の際、現に存するもの」でないからです。

なお、相続手続きは生前に準備できるものもありますので、生前に準備し、実行しておけるものがあれば実質的に債務控除の対象とすることができます。遺言書は何歳から書けばいい?相続税に強い東京の税理士が解説でご紹介していますが、早めに遺言書など専門家に作成を依頼しておくと良いでしょう。

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保証債務

保証債務は原則として相続税の債務控除の対象にはなりません。

借金の保証人になっている場合であっても債務控除できないということです。なぜなら、「確実な債務」でないからです。

ただし、主債務者が弁済不能になり、求償しても主債務者からの返還が見込めない場合には、その返還される見込みのない部分を控除することができます。

 

「債務控除」の一種である「葬式費用」

先ほどご紹介した通り、債務控除について、相続税法では次の2種類が定義されています。

  1. 狭義の債務控除:「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)」
  2. 葬式費用:「被相続人に係る葬式費用」

次に、債務控除の一種である「葬式費用」について概要をご紹介します。

控除できるのは通夜・葬儀まで

葬式費用として遺産総額から控除できるのは、通夜・葬儀にかかる費用です。お葬式に関連して支払う費用のほとんどは「葬式費用」として、相続税の支払いを減らすことができます。

ただし、たとえば四十九日法要など、お葬式が終わったあとにかかる費用は一般的に控除対象にはなりません。

 

香典返しは控除できない

香典返しは葬式費用の太陽にはなりません。

香典を受け取った場合、本来であれば贈与に該当しますが、贈与者と受贈者の関係等に照らして社交上の必要によるもので社会通念上相当と見られるものについては、非課税として扱われます。そのため、非課税の香典を受け取ったお返しである香典返しも同様に非課税となります(相続税の控除対象にならない)。

葬儀費用を巡って家族で揉めるケースもありますので、葬儀費用は誰が支払う?相場は?相続税の取扱いとともに税理士が解説をあらかじめ見ておいて損はありません。

 

相続税の債務控除に必要な書類

相続税の申告で債務控除を受ける場合には、証拠として、その債務にかかる書類を添付します。

支払う前の請求書や死後に相続人が支払った領収書を用意しておきましょう。

《例》

  • 固定資産税・住民税などの納税通知書、領収書
  • 賃貸借契約書
  • 医療費の請求書、領収書
  • 電気・ガス・水道など請求書、領収書
  • クレジットカードの請求書、明細書
  • 老人ホームの請求書、領収書
  • 金銭消費貸借契約書
  • 借入金残高証明書
  • 葬式費用の明細書、領収書 など

なお、葬式費用には僧侶へのお布施も含めることができますが、領収書が発行されないことも多いです。その場合はメモ書きを残しておくようにしましょう。

 

債務控除のために書類を集めておくことが大事

今回は相続税の支払いを減らす「債務控除」について解説しました。

債務の書類はたくさんあって収集するのが大変ですが、相続税額を下げることができますし、細かくキッチリ申告することで税務署の心証もよくなる可能性があります。

どれが相続税の対象になるか、ならないかは税理士に相談すれば大丈夫ですが、「証拠書類を残しておくこと」だけは覚えておくと良いでしょう。

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