
お気持ちお察しいたします。大切な方を亡くされた後の生活や、葬儀費用の支払いなど、お金の心配が出てくるのは当然のことです。「遺産はいつになったら自分のものになるの?」という疑問をお持ちになる方は少なくありません。
結論から申し上げますと、遺産は、必要な相続手続きが全て完了した後にもらえます。 その期間は、相続の状況によって大きく異なり、スムーズに進めば数ヶ月程度で完了することもありますが、残念ながら、相続人間で揉めてしまったり、手続きが複雑だったりすると、1年以上、長い場合には5年以上かかってしまうケースも決して珍しくありません。
この記事では、相続した遺産がいつもらえるのか、手続き完了までの期間の目安や流れ、そして少しでも早く手続きを終わらせるためのポイントについて、あきた相続・贈与相談プラザ(運営:秋田税理士事務所)の専門家が分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 遺産は、相続手続き(遺産分割協議、名義変更など)が完了したらもらえる。
- 手続き期間は最短でも数ヶ月、揉めたり複雑な場合は1年~5年以上かかることも。
- 期間が長引く主な原因は「遺産分割協議の難航」。
- 預貯金の仮払い制度はあるが、上限があり根本的な解決にはならない。
- 早く・確実に遺産を受け取るには、専門家への依頼が最も効果的。
相続手続きは思った以上に時間がかかり、精神的な負担も大きいものです。手続きが長引けば、それだけ遺産を受け取る時期も遅くなってしまいます。「早く手続きを終わらせて、安心したい」「面倒な手続きは専門家に任せたい」とお考えでしたら、ぜひ私たちあきた相続・贈与相談プラザにお話しをお聞かせください。
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遺産はいつもらえる?基本的な考え方
原則:「相続手続き完了後」に受け取れる
亡くなった方の遺産(預貯金、不動産、株式など)は、亡くなった瞬間に自動的に相続人のものになるわけではありません。法的に有効な形で遺産を受け取るためには、一連の「相続手続き」を完了させる必要があります。
この相続手続きには、主に以下のようなステップが含まれます。(詳しくは【秋田市版】遺産相続手続きの全ステップをご覧ください)
- 相続人の確定(戸籍謄本の収集)
- 相続財産の調査・評価
- 遺産分割協議(相続人全員での話し合い)
- 遺産分割協議書の作成
- 各財産の名義変更(預貯金の解約・払戻し、不動産の相続登記など)
- (必要な場合は)相続税の申告・納税
これらの手続きが全て終わり、例えば預貯金であれば金融機関から払い戻しを受けたり、不動産であれば法務局で名義変更が完了したりして、初めて法的に自分の財産として遺産を受け取ることができるのです。
完了までの期間はケースバイケース
では、これらの相続手続きが完了するまでに、どれくらいの期間がかかるのでしょうか?
これは、相続人の数、遺産の種類や複雑さ、そして何よりも相続人間でスムーズに話し合い(遺産分割協議)がまとまるかどうかによって、大きく変わってきます。
期間の目安
- スムーズに進んだ場合: 約2ヶ月~6ヶ月程度
(相続人が少なく、遺産の内容が単純で、遺産分割協議もすぐにまとまるケース) - 一般的な場合: 約6ヶ月~1年程度
(戸籍収集や財産調査に時間がかかったり、遺産分割協議に多少時間がかかるケース) - 手続きが難航した場合: 1年~数年、長いと5年以上
(相続人間で揉めて遺産分割協議がまとまらない、相続人が多い、財産が複雑、裁判所の手続きが必要になるケースなど)
あくまで目安ですが、遺産をすぐに受け取れるとは限らない、ということを念頭に置いておく必要があります。
なぜ遺産をもらえるまで時間がかかるのか?長引く要因
相続手続きが長引き、遺産をなかなか受け取れない状況になってしまうのには、いくつかの要因があります。
- 遺産分割協議がまとまらない:これが最も大きな要因です。「誰がどの財産をどれだけもらうか」で意見が対立し、話し合いが進まないケースです。感情的な対立も絡み、長期化しやすいです。(詳しくは遺産相続トラブルは他人事じゃない!秋田で揉める家族の5つの特徴をご覧ください)
- 相続人が多い・連絡が取りにくい:相続人の数が多かったり、中には遠方に住んでいたり、連絡が取りにくい人がいると、書類のやり取りや意思確認に時間がかかります。
- 相続財産の調査が難しい:どのような財産がどこにあるのか不明な場合、調査に時間がかかります。特に不動産や非上場株式などの評価は専門知識が必要です。
- 戸籍謄本の収集が大変:亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集める必要があり、本籍地が何度も変わっている場合などは非常に手間がかかります。
- 手続き自体が複雑:金融機関や役所、法務局など、手続きを行う窓口が多く、それぞれ必要書類や手順が異なります。不備があるとやり直しになり、さらに時間がかかります。
これらの要因が複合的に絡み合い、手続きが長期化してしまうのです。
各手続きにかかる期間の目安
相続手続き全体の期間は状況によるとお伝えしましたが、個別の手続きにもある程度の時間がかかります。
- 戸籍謄本の収集:数週間~1ヶ月以上(本籍地の数や役所の対応による)
- 財産調査(預貯金残高証明など):数週間~1ヶ月程度(金融機関の数による)
- 遺産分割協議:数週間~数ヶ月(スムーズな場合)~数年(揉めた場合)
- 預貯金の解約・払戻し:書類提出後、約1~4週間程度(金融機関による。予約が必要な場合も多い)
- 不動産の相続登記:書類作成・申請準備に数週間~、法務局への申請後、約1~2週間で完了(法務局の混雑状況による)
- 株式等の名義変更:数週間~1ヶ月程度(証券会社による)
- 相続税申告:資料収集・財産評価・申告書作成に通常2~3ヶ月程度(税理士に依頼した場合の目安)
これらの手続きを順に進めていく必要があるため、全体として時間がかかることがお分かりいただけるかと思います。
相続が起きた際、遺産はいつ振り込まれる?
遺産をいつ受け取れるかの期間は、必要書類の収集にかかる時間と、必要書類を審査する時間によって異なります。
遺産が預貯金の場合、概ねどれくらいの日数で受け取れるのか解説します。
金融機関ごとに異なる具体的な期間
金融機関ごとに、手続きにかかる期間が異なります。
以下、金融機関ごとの違いを列挙します。
金融機関名 | 必要書類提出後受け取れるまでの期間の目安 |
三井住友銀行 | 公式ホームページで具体的な期間は明記していません。 |
みずほ銀行 | 公式ホームページで具体的な期間は明記していません。 |
三菱UFJ銀行 | 約2週間※公式ホームページより |
りそな銀行 | 公式ホームページで具体的な期間は明記していません。 |
ゆうちょ銀行 | 1~2週間程度、ただし手続き完了まで約1か月程度※公式ホームページより |
JAバンク | 公式ホームページで具体的な期間は明記していません。 |
新生銀行 | 約2週間※公式ホームページより |
※ここでは、一部の銀行の事例だけ列挙しました。わたしの経験では、地方銀行や、信用金庫などは、比較的日数がかかりません。JAバンクも、必要書類がすべて揃っていて、事前に電話連絡しておけば即日から数日で払戻し手続きが完了することもあります。ほとんどの金融機関が、平均すると1~2週間程度で、遅くとも1か月くらいです。
金融機関ごとに注意するべきポイント
払い戻しに関する手続きの流れは基本的に次の通りです。
払い戻し手続きの流れ
- 相続の申出
- 必要書類の提出
- 必要書類の審査
- 払戻し
ただし、金融機関ごとに手続き方法や手続きにかかる期間が多少違います。特徴のある箇所だけ、以下に簡単にまとめてみました。
金融機関名 | 必要書類提出後受け取れるまでの期間の目安 |
金融機関一般 | 遺産を受け取れる権利を有する相続人を特定するための書類は、原則として遺産分割協議書ですが、金融機関によっては、別途指定の「相続に関する依頼書」に相続人全員の署名捺印が必要な場合もあります。 |
ゆうちょ銀行 | 必ず窓口で独自の書類の「相続確認表」を受け取り、記入して提出します。被相続人名義の貯金等の有無が不明の場合には、「貯金等照会書」も提出します。相続申出後1~2週間程度で「必要書類のご案内」が郵送されてきます。「相続確認表」を提出した窓口に必要書類を提出します。最低でも窓口に2回出向くことになります。結果として、ゆうちょ銀行での相続手続きは、最短でも2~4週間程度はかかります。 |
※公式ホームページ参照。
不動産などお金以外の遺産はいつもらえる?

原則として、「相続の申出」→「必要書類の提出」→「必要書類の審査」→「名義変更手続き」という流れは預金と一緒です。
預貯金以外の主な遺産についてまとめました。
相続財産 | 必要書類提出先 | 手続きする上での注意点 |
不動産 | 法務局 | ※詳細は後述します |
有価証券 | 証券会社※非上場株式の場合には、非上場会社 | 株式が、上場株式か非上場株式かによって手続きが大きく異なります。上場株式の場合には、預貯金と同じで、証券会社に申し出て必要書類を提出すれば、株式の名義書換手続きが完了します。被相続人が、非上場会社の株主だった場合には、証券会社は関与していないので、非上場株式を発行している会社へ直接申し出をします。 |
ゴルフ場の会員権 | ゴルフ場管理会社 | ゴルフ管理会社ごとに多少手続きは違いますが、注意する点は、名義書換料などの費用が発生することです。高額なところもあるので、事前によく確認することをおすすめします。 |
自動車 | 運輸局 | 必要書類を管轄運輸局へ提出し、自動車に関する税金を支払えば、すぐに新しい相続人名義の車検証を受け取れます。名義変更した後、継続使用、廃車、売却どれも可能です。 |
賃料などの債権 | 不動産管理会社 | 被相続人が、賃貸不動産を保有していた場合には、賃借人に対する賃料請求権が相続人に相続されます。この場合、不動産の名義変更を行うだけではなく、新所有者として、新しい賃貸借契約を締結する必要があります。まずは不動産管理会社にご連絡することをおすすめします。不動産管理会社がない場合には、自ら手続きをすることになりますが、難しい場合には、弁護士や司法書士といった専門家に依頼しましょう。 |
住宅ローンなどの債務 | 金融機関 | 被相続人が住宅ローンなどの債務者であった場合には、債務者変更手続きを行う必要があります。通常は、不動産の所有権を相続した相続人が新しい債務者となります。相続人全員で協議して、それ以外の者を債務者とすることもできますが、債権者である金融機関との協議が必要です。 |
不動産の相続手続きと期間
被相続人が不動産を保有している場合には、管轄法務局に相続による所有権移転登記申請手続きを行います。
なお、不動産登記申請書は自ら作成する必要がありますが、役所のように、「申請書が法務局に完備されていて、それに記入するだけだから自ら容易に手続きできる」と思っている人が多く見受けられます。
しかし、そうではありません。
預貯金と異なり、添付しなければならない必要書類も多く、特殊なルール等もありますので、専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。
なお、登記完了期間は登記申請後概ね1~2週間です。管轄法務局の混雑具合によって異なります。
遺産を少しでも早くもらう方法はある?

お困りのことと思います。相続手続き完了前に、遺産の一部を仮に受け取るための制度がいくつかあります。ただし、利用には条件や注意点があります。
1. 預貯金の仮払い制度
2019年の民法改正により、遺産分割協議が完了する前でも、一定額までの預貯金を相続人が単独で引き出せる制度ができました。主に以下の2つの方法があります。
- 家庭裁判所の仮払い制度:家庭裁判所に申し立てて、仮払いの許可を得る方法です。手続きに時間はかかりますが、引き出せる金額に上限はありません(必要性が認められれば)。
- 金融機関での仮払い制度:家庭裁判所を通さず、直接金融機関の窓口で手続きする方法です。比較的早く引き出せますが、引き出せる金額に上限があります。上限額は「相続開始時の預貯金残高 × (1/3) × その相続人の法定相続分」で、かつ同一金融機関からは150万円までと定められています。
これらの制度は、あくまで緊急的な資金需要(葬儀費用や当面の生活費など)に対応するためのものです。利用するには戸籍謄本などの書類が必要ですし、上限額もあるため、これだけで全ての資金を賄えるとは限りません。
2. (注意!)キャッシュカードでの引き出しはリスク大
亡くなった方のキャッシュカードと暗証番号が分かれば、口座が凍結される前にATMで引き出すことは物理的に可能です。しかし、この方法は絶対に推奨できません。以下の大きなリスクがあります。
- 他の相続人とのトラブル:無断で引き出したことが分かれば、「遺産を隠しているのでは?」と他の相続人から不信感を買い、深刻なトラブルに発展する可能性があります。必ず事前に全員の同意を得るべきですが、同意があれば仮払い制度を利用する方が安全です。
- 相続放棄ができなくなる可能性:預金を引き出して自分のために使うと、遺産を全て相続する意思があるとみなされ(単純承認)、後で多額の借金が見つかっても相続放棄ができなくなる恐れがあります。
安易な引き出しは、後で大きな問題を引き起こす可能性があるため、絶対に避けましょう。
注意ポイント
相続開始後の預金の引き出しは、仮払い制度を利用するのが原則です。キャッシュカードでの安易な引き出しは、トラブルの原因となるため絶対にやめましょう。
相続手続きを早く終わらせ、遺産を早くもらうには?
仮払い制度は一時的な対応にしかなりません。根本的に遺産を早く、そして確実に受け取るためには、相続手続き全体をスムーズに進めることが最も重要です。
そのためには、以下の点がポイントになります。
- 早めに手続きに着手する:相続発生後は、悲しみに暮れる間もなく、やるべきことがたくさんあります。期限のある手続きもあるため、早めに全体像を把握し、計画的に進めることが大切です。
- 相続人全員で協力する:遺産分割協議はもちろん、書類の準備など、相続人全員が協力し合うことで、手続きは格段にスムーズになります。こまめに連絡を取り合い、情報を共有しましょう。
- 遺産分割協議を円満に進める:感情的にならず、お互いの立場を尊重し、冷静に話し合うことが重要です。必要であれば、専門家を間に入れて話し合いを進めるのも有効です。
- 専門家のサポートを活用する:相続手続きは複雑で専門的な知識が必要です。戸籍収集、財産調査、遺産分割協議書の作成、各種名義変更、相続税申告など、手続き全体を専門家に依頼することで、時間と手間を大幅に削減し、ミスなく確実に、そして早く手続きを完了させることができます。
特に、相続人が多い、財産の種類が多い、不動産が含まれる、相続人間で意見が対立しそう、といったケースでは、専門家への依頼が期間短縮とトラブル回避に非常に有効です。費用はかかりますが、結果的に時間的・精神的な負担や、トラブルによる損失を考えれば、決して高いものではないと言えるでしょう。
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相続した遺産が「いつもらえるか」は、相続手続きがいつ完了するかにかかっています。その期間は、スムーズにいけば数ヶ月ですが、遺産分割協議が難航するなど、様々な要因で1年以上、長い場合には5年以上かかることもあります。
早く、そして確実に遺産を受け取るためには、相続手続きをスムーズに進めることが何より大切です。そして、そのためには、相続に詳しい専門家のサポートを得ることが最も効果的な方法と言えます。
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