それだけの情報だとわかりません。
相続税は、マンションだけでなく、現金や銀行の預金、絵画に株式など、あらゆる財産すべての金額を合算して計算されるからです。また、マンションの財産価値を計算するうえでは、相続税法における評価をしなければならず、これは税理士でないと「ざっくり計算」も難しいです。
ただし、1つ言えることは、マンションを相続した場合、9割以上の確率で相続税の申告が必要だということです。
この記事では、秋田市の税理士 坂根が解説します。
ポイント
- 相続税はマンションだけでなく、銀行預金や株式、絵画に家にあるテレビなどの家財を含む、あらゆる財産に対して課税される
- マンションを相続したという情報だけだと、いくら相続税がかかるかわからない
- マンションを相続したなら9割以上の確率で相続税の申告が必要(小規模宅地の特例を受ける場合、申告が必要)
秋田税理士事務所グループでは、相続税の申告を含む、相続手続きをまるごとサポートいたします。相続税申告は税理士に、不動産の相続登記は司法書士に、と誰に何を依頼したら良いのかわからないのが普通です。秋田税理士事務所グループでは税理士、司法書士、行政書士や弁護士などの専門家がやさしくサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
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なお、以下の動画で、マンションなど持ち家を相続した場合の注意点について解説していますので、あわせてご覧ください。
マンションを相続した場合、相続税がかかる可能性が高い
相続税ってどんな税金?
相続税は、亡くなった方の遺産を引き継いだ相続人にかかる税金です。
この場合の遺産とは、お金だけでなく、マンションなどの自宅や、家にある机や椅子などの家財を含めた、あらゆる財産に対して課税されます。
そして、遺産額が基礎控除額と呼ばれる金額(ざっくり説明すると3,000万円)を超えた場合に、その超えた部分に対して相続税がかかります。
相続税のポイント:
- 遺産が3,000万円を超える場合に、超えた部分に対して10%から55%の相続税がかかる
- 遺産に含まれる「お金」が3,000万円に満たなかったとしても、マンションの価値(「相続税評価額」)を足して3,000万円を超えれば相続税の申告が必要
関連記事:相続税はいくらからかかる?いくらまで無税?秋田市の税理士が解説
マンションの「相続税評価額」はいくら?
上記で説明したように、相続税がかかるマンションの価値は「相続税評価額」が基準とされています。
相続税評価額とは、その名の通り「相続税を計算するうえでの、遺産の金額のこと」です。
土地や建物といった不動産は、決まった価格で売買されているものでないため、数多くの計算方法があります。
したがって、「相続税の計算をするときにはこの方法でマンションの価値を評価しよう」と法律などで厳密に決まっています。
マンションの相続税評価額を計算する方法
マンションの相続税評価額をどのように計算するか、確認していきましょう。
「マンション」という財産は、以下のの2つの財産で構成されています。
- 「建物(区分所有建物)」
- 「土地(敷地利用権)」
したがって、マンションの相続税評価額を算定するためには、建物と敷地がそれぞれいくらになるか計算する必要があります。
マンション(建物部分)の相続税評価額
亡くなった人が自分で住んでいたマンションの場合、区分所有建物の「固定資産税評価額」が、そのまま相続税評価額となります。
固定資産税評価額は、「市区町村が固定資産税を計算するときの建物の評価額」のことで、1年に1回自宅などに送られてくる固定資産税の課税明細書に金額が記載されています。
固定資産税を計算するときに使う評価額を、相続税の計算でもそのまま流用してOKというわけです。
なお、もし固定資産税の課税明細書を紛失してしまった場合は、市役所の固定資産税課などの部署で「固定資産評価証明書」を発行してもらい、確認することができます(東京都の場合は都税事務所で発行できます)。
マンション(敷地部分)の相続税評価額
マンションの敷地の相続税評価額は、「マンションの敷地全体の相続税評価額を、持ち分割合で按分する」ことによって計算します。
計算式にすると以下のようになります。
敷地権の相続税評価額=マンション敷地全体の相続税評価額×持分割合(敷地権の割合)
たとえば、マンションの敷地全体の相続税評価額が4億円で、持分割合が「20分の1」だったとすると、4億円×(1÷20)=2,000万円が敷地権の相続税評価額となります。
持分割合については、法務局で登記簿を発行することですぐに確認ができますが、問題は「マンションの敷地全体の相続税評価額」をどのように調べるかです。
これは、そのマンションの土地の「路線価」や「倍率」といったものを調べたり、「公図」と呼ばれる資料などを確認する必要があり、非常に複雑です。
簡単に計算することはできませんので、詳細な金額を確認したい場合は税理士に相談することをお勧めします。
以下、参考までにマンションの敷地全体の相続税評価額の計算方法を解説していきます。
土地の相続税評価額には、以下の2通りの計算方法があります。
- 路線価方式
- 倍率方式
路線価方式というのは、その土地が面する路線価(道路の価格)と呼ばれるものによって、土地の価値を計算する方法です。
国税庁のホームページで確認できる1㎡あたりの路線価に、土地の面積を乗じて計算を行います。
たとえば、マンションの目の前の路線価が1㎡あたり20万円で、マンションの敷地全体で2.000㎡あった場合、20万円×2,000㎡で4億円と計算することができます。
※厳密には、その土地が面する道路が1路線なのか2路線なのか等によって評価額は変わりますが、おおまかな目安としてください。
なお、日本国内のすべての土地に路線価が設定されているわけではありませんので、路線価が設定されていない土地の場合は、「倍率方式」によって計算を行います。
倍率方式の場合、土地の固定資産税評価額に一定の倍率(1.1倍など)を乗じて相続税評価額を求めます。
ただし、都市部の土地は基本的に「路線価方式」で、「倍率方式」で評価額を計算するのは地方にある山奥のような土地が多いです。
したがって、マンションが建てられている地域では、一般的に路線価方式で計算を行うことになると考えられます。
マンションを相続する場合に活用すべき特例制度
マンションを相続する際には、相続税計算上の「特例制度」を適用できる可能性があります。
特例制度とは、簡単にいえば、一定の条件に当てはまる場合に、相続税を安くできる特別ルールのことです。
マンションの相続にあたって利用を検討すべき特例制度としては、例えば「小規模宅地等の特例」があります。
以下では、小規模宅地等の特例でどのぐらい相続税が安くなるかについて大まかに解説していきますので、ぜひ理解しておきましょう。
小規模宅地等の特例とは(マンションにかかる相続税を減らす)
小規模宅地等の特例とは、たとえば以下のような一定の要件を満たす場合、敷地面積に応じて相続税を減らす(安くする)ことができるというルールのことです。
- 遺産に含まれる土地が自宅に利用されている場合
- 遺産に含まれる土地が事業に利用されている場合
この他に細かい要件がありますが、ざっくり説明すると、相続人となった方が、故人の自宅を引き継ぎ、住み続ける場合などに適用できる可能性があります。
もちろん、亡くなった人が自分で住んでいたマンションの敷地部分についても活用することができます。
ここで「相続税を減らすことができる」とは、具体的には「相続税評価額を低く計算することができる」ことを意味します。
相続税は、相続税評価額に税率を乗じて計算するため、相続税評価額を低く計算することができれば、当然ながら支払う相続税も減らすことができます。
小規模宅地等の特例でどのぐらい相続税評価額が低くなるのか
小規模宅地等の特例を使うと、最大で土地の相続税評価額を80%減額することができます。
たとえば、1億円の価値がある土地であれば、80%に当たる8,000万円を減額して、2,000万円の財産として扱うことができます。
実際には1億円の価値があるにもかかわらず、相続税を計算するうえでは2,000万円の財産として扱いますので、8,000万円(1億円 - 2,000万円)×税率の分だけ相続税を減らすことができます。
マンションを前提とする場合、土地の用途によって、以下のように上限面積や減額割合が決まっています。
- 居住用宅地の場合:上限面積は330㎡、減額割合は80%
- 貸付事業用宅地の場合:上限面積は200㎡、減額割合は50%
居住用宅地とは、自己や親族が住むための土地のことを言い、貸付事業用宅地とは、不動産投資などに利用されている土地のことを言います。
亡くなったご両親が住んでいた家に住む場合、亡くなったご両親が経営されていたアパートを引き継いで経営を続ける場合などに、これらの特例を受けられる可能性があります。
具体的には、相続税評価額が1億円の居住用宅地を引き継ぎ、土地の面積が420㎡だった場合、小規模宅地等の特例によって、以下のように相続税評価額を減額することができます。
- 小規模宅地等の特例による減額分=1億円×(330㎡÷420㎡)×減額率80%=約6,280万円
- 小規模宅地等の特例適用後の相続税評価額=1億円−6,280万円=3,720万円
本来は1億円の価値がある土地を、3,720万円として扱うことができます。ここから基礎控除額を差し引き、税率を乗じて相続税の金額を計算するため、支払う相続税は大幅に減ることがお分かりいただけるかと思います。
小規模宅地等の特例を利用するための条件
このように、小規模宅地等の特例を使えば、相続税の負担額を大幅に減らすことができます。
ただし、小規模宅地等の特例を利用するためには、原則として相続税の申告までに遺産分割協議が完了しており、なおかつ相続税の申告を期限までに行う必要があります。
その他にも、適用を受けるための細かい要件があるため、小規模宅地等の特例を適用できるかどうかについては、慎重な検討が必要です。
なお、小規模宅地等の特例を利用した結果、基礎控除額以下の財産額となった場合においても相続税の申告が必要な点には注意が必要です。
マンションをお持ちの場合、小規模宅地等の特例を適用する前の段階で基礎控除額を超え、申告が必要になる方は非常に多いです。
相続税の申告期限は亡くなった日の翌日から10ヶ月以内ですので、生前に相続への備えを行っていない場合は、できるだけ早いタイミングで専門家と相続手続きを進めていくようにしましょう。
また、まだ相続への備えを行っていない方については、なるべく元気なうちに対策を行うことをお勧めします。
マンションを相続した場合にどうすべきか
この記事では、ご両親などの親族からマンションを相続する予定の方向けに、相続税の計算方法を解説いたしました。
本文でも解説したように、相続税の申告を行うためには、税法の専門的な知識が必要です。
マンションなどの土地建物にかかる相続税の計算ひとつとっても複雑なため、どこかのタイミングで専門家への依頼は欠かせません。
相続のこと、いつかやればいいでは遅いんです
※上記は、おひとり分の相続税申告書と、お預かり資料のボリュームの参考です。
相続税は、亡くなってからできる対策は限られ、亡くなってから申告の準備を始めても期限に間に合わせるのはとても大変です(資料収集など含め、ご依頼いただいてから申告までに3か月以上かかるケースが多いです)。
相続対策をするなら、生前、早めの方が良いでしょう。具体的に言えば65歳以上の方であれば対策を始めても早すぎることはありません。認知症になってしまえば何も対策できなくなってしまうからです。
秋田税理士事務所グループでは、遺言書の作成など、生前におけるサポートも対応しています。親御さんと一緒に、ぜひ危機感を持って今すぐお問い合わせください。
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