相続税

【相続税の追徴課税】知らなかったじゃ済まされない

秋田税理士事務所 / 税理士 坂根 崇真

税理士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役 【著書】 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

悩んでいる方
相続税の申告、知らなかったで押し通せないんでしょうか?

無理です。放っておいたり、とりあえずで申告書を作成すると税務調査が入り、罰金を支払うこと(追徴課税)になります。

税務署には、過去の勤務先からどのぐらいの給与を得ていたか、どのような不動産を持っているかなどの財産状況をある程度把握しています。そのため、申告をせずに放っておくと、税務署から連絡が来て、罰金を支払う羽目になります。

なお、相続税は人が亡くなった後、遺族の方にかかる税金ですが、相続税申告書(税金を計算した書類)の提出が終わった数年後、忘れた頃に税務署による税務調査が行われます。

相続税がかかりそうかわからないと不安な方、申告期限を過ぎてしまって怯えている方は今すぐにお問い合わせください。

この記事では、相続税の税務調査が行われた際、どのような項目が重点的にチェックされるのか、どのような追徴課税が行われるのかを秋田市の税理士 坂根が解説します。

なお、秋田税理士事務所グループでは、相続手続きをまるっとサポートします。自分でできないこと、時間がとれなくて手を付けられない場合には、まずはお気軽にご相談ください。

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相続税の税務調査とは?

相続税の税務調査とは、税務署に提出した相続税申告書(相続税の金額を計算した書類)について、税務署の調査官が、申告書の内容に漏れや誤りが無いか確認しに来る手続きのことを言います。

税理士に依頼し、税務署に提出する書類は情報がそこまで多くありません。

なぜなら、税務署に事細かく情報を出した場合、税務署も人手が足りずにパンクしてしまうので、提出する情報量に限りがあるのです。

したがって、税務署に提出した相続税申告書の中でも、この人の相続税申告書が気になるな、この人は相続税がかかりそうなのに申告書の提出がされていないな、と税務署の職員が感じたら税務署の調査官が訪ねてくることになります。

結果的に、税務署と対立した場合や、申告書の内容に漏れや誤りがあった場合、追加で罰金を支払う必要があります。

最終的な決着は裁判によって行われますが、一般的には、税務署の指摘に対する反論が無ければ、それに従うことになります。

相続税の追徴課税とは?

相続税の申告が期限までに行われていなかった場合や、相続税の申告の内容に誤りがあると認められる場合には、相続税の追徴課税が行われます。追徴課税とは、本来納める税金に加え、罰金を支払うことを意味します。

相続税の申告が期限までに行われていなかった場合には無申告加算税という罰金がつきます(関連記事:【相続税申告期限】いつまでに払う?秋田市の税理士が解説)。

また、本来納めるべき税金に満たない場合は、過少申告加算税という罰金が付きます。これらに加えて、利息として延滞税という罰金がつき、また、悪質な場合には重加算税という罰金がつきます。

これらの罰金は、本来納めるべき税金に加えて支払わなければならないものであり、40%などの罰金がつくこともあります。

本来1,000万円の税金の支払いで済むところ、1円も納めておらず、40%の罰金がつき、1,400万円の税金を支払わなければならない、このようなこともあり得ます。

したがって、相続税の申告は、きちんと税理士に依頼し、包み隠さず情報を話す必要があります。

相続税の追徴課税の種類は?

相続税の申告漏れを起こした場合などの罰金等について解説します。

  • 延滞税
  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 重加算税
  • 逮捕

延滞税

延滞税とは、簡単に言えば「利息」です。

死亡後10か月の期限までに、相続税を納付しなかったことに対する罰金として、本来納めるべき金額に対し、

相続税の納付期限の翌日から2ヶ月までは 年2.6%、それを過ぎると年8.9%が課されます(令和2年のケース)。

過少申告加算税

過少申告加算税は、支払った税金が、本来払うべき金額に満たない場合に課されます。

つまり、申告書の内容が誤っていた場合に支払う罰金です。

この場合、税務署等に改めて申告書を提出し、本来支払うべき税金と,最初に支払った税金との差額を支払います。

この際、追加で支払った税金の5%(場合によっては10%等)を罰金として支払わなければなりません。

当初950万円の税金を支払ったところ、本来1,000万円であることが判明した場合は追加で50万円を税務署に支払うことになりますが、差額50万円の5%である2.5万円が、罰金としてとられます。

これは間違っていた金額が少なかった場合の例ですが、間違っていた金額50万円に対して罰金が2.5万円と、期限までに申告しなかった場合と比べると明らかに軽い罰金です。

※税務調査が来る前に自主的に申告書を出しなおした場合は、この罰金が発生しないケースもあります。気が付いたら早めに税理士に相談しましょう。

無申告加算税

期限までに申告を行わなかった場合は、無申告加算税が課されます。

これは、期限までに申告しなかったことに対する罰金であり、本来支払うべき税金の10%(場合によっては15%や20%等)を追加で支払わないといけません。

本来1,000万円の税金を支払う必要があった場合、仮に15%であっても150万円を余計に払うことになってしまいますので、できる限り早く相続税の申告手続きをすすめる必要があります。

なお、無申告課税は、自主的に申告した場合と、税務調査で発覚した場合によって罰金の額が大きく変わります。

そのため、相続税の申告を期限までに行えなかった場合であっても、早めに税理士に依頼をして申告を行う必要があります。

重加算税

重加算税とは、相続税の対象となる相続財産を故意に隠したり、事実を隠ぺいしたような悪質な場合に課されます。

この場合は、罰金の割合が非常に高くなります。

重加算税は、足りなかった税金の35%(場合によっては40%等)の罰金を支払わないといけません。

本来1,000万円の税金を支払うべきところ、財産隠しを行って申告しなかった場合には、1,000万円に加えてその40%、400万円が罰金としてとられるということです。

これの問題点は、罰金はもちろん、家族や親戚からの信頼を失う可能性があることでしょう。

特に、規模が大きい場合にはニュースとして取り上げられる可能性もありますので、財産隠しは絶対にやめてください。

逮捕

最悪、逮捕の可能性もゼロではありません。

ただし、税理士に依頼し、記憶の範囲内で包み隠さず話していれば心配する必要はありません。

正直が一番です。

税務調査はどのぐらいの割合で来るの?

相続税の税務調査は、相続税申告を行った方のうち、およそ10件に1件の割合で行われています。申告しなかった場合も含めるとその数はさらに多くなります。

一般的には財産額が多ければ多いほど、税務調査が来る可能性は高くなりますが、例えば過去に被相続人が子どもに贈与をしているような場合などは、その確認のための調査が行われるケースもあり、税務調査の有無は、必ずしも財産額によって決まるものではありません。

不安を抱えたまま生活し、結局あとから罰金つきで多額の支払いを求められることになるぐらいであれば、きれいに清算しておいた方が良いでしょう。

相続税調査による申告漏れの指摘割合

相続税の申告が終わったあと、だいたい1年2年経過後に、税務署の職員による調査が行われることがあります。

相続税の税務調査が行われた場合、およそ85.7%の割合で申告書の内容について誤りを指摘されてしまいます。

上述したように、この場合、本来支払うべき税金と、追加で罰金を納めなければなりませんので、申告にあたっては、税理士に包み隠さず話し、適切に申告を行いましょう。

相続税の調査事績平-成-30-事-務年度における相続税の調査等の状況

(参考元:国税庁 相続税の調査事績(平 成 30 事 務年度における相続税の調査等の状況)

相続税の税務調査で問題になるのは銀行預金・貯金

相続税の税務調査では、特に預金について念入りに確認が行われます。

相続税の対象になる財産の範囲は広い

相続税がかかる財産の範囲はとても広いです。現金、銀行預金/貯金はもちろんですが、自宅の土地、家、自動車、生命保険金、株や社債、或いは自宅にある骨董品や家財など・・・

お亡くなりになった方が持っていた、財産価値があるほとんど全てのモノが相続税の対象になると考えて良いでしょう。

このように、相続税がかかる財産の範囲はとても広いです。

税務調査では何を聞かれるの?

税務調査では、世間話などから相続人に質問を始め、亡くなった方やその家族の生活状況などを探り、情報収集が行われます。

なお、調査官の質問の内容は様々ですが、亡くなった方が生前どのような仕事をされていたか、どのような趣味があったか、その財産をどのように築いたのか等を確認されることが多いです。

その他にも、どれくらいの退職金があったかや、医療費や生活費にどのぐらいの費用が掛かっていたのか、子どもや孫へお金を渡したりしていたか等を確認します。

こういった情報は、申告書を提出する際に税務署に提供していない情報のため、財産形成の背景、使い道などを確認していくことで、申告書にのっていなかった(税理士が把握しきれていなかった)財産や、贈与の有無を確認することを目的としています。

税理士も相続税の申告書を作成する際になるべく細かく情報を確認しますが、相続税の申告書の提出までに期限があることや、遺族の協力がないと細かい情報の把握ができないことから、税務調査が入った際に、遺族の方も把握していなかった財産が見つかることも少なくありません。

ちなみに、調査官から、通帳の入金や出金の取引情報などを確認しながら質問をされる場合もありますので、税理士に立ち会いを依頼し、前もって質問を予測したり、情報の整理を行っておくと良いでしょう。

もちろん、聞かれた際に慌てて嘘をついたり、曖昧に回答をすることは避けてください。

その場で答えられない場合には、後から回答することもできますので、分からない場合にはその場で無理やり答える必要はありません。

相続税の税務調査で問題になるのが銀行預金等である理由

相続税の税務調査が行われた際、問題になりやすいのは圧倒的に銀行預金や貯金です。

その理由はなぜか、確認していきましょう。

預金通帳を見ればお金の流れ(収入、支出)のほとんど全てを把握できる

お金は銀行に預けず全て現金で持っている。という方は現代日本において、いないといって良いレベルではないでしょうか。

現金で家に数百万円、数千万円を保管しておくと泥棒が入った際のリスクが高いことから、通常皆さんは銀行にお金を預けていますよね?

また、給料の振込や年金の受け取りなど、受け取ったお金は預金口座に入金されますし、お金を使う場合も振り込みの場合は預金口座から出ていきますよね?

このように、銀行の預金通帳を見ることでお亡くなりになった方の財産の動きのほとんどを把握することができるため、預金通帳は税務調査において重点的に確認されることになります。

名義預金に要注意

相続税の税務調査で問題になりやすいことのひとつに、「名義預金」が挙げられます。

名義預金とは、家族名義の預金や株式等のうち、実質的に亡くなった方の物を言います。

亡くなった親が、生前に子どもや孫の預金口座を開設してお金を預けていた場合、通帳や印鑑の管理を亡くなった親が管理していた場合、これらの預金は実質的に、亡くなった方の財産であるという考えです。

このような名義預金は相続税の申告で漏れやすく、税務調査の指摘事項として上がりやすい項目です。

子どもや孫のためと思ってコツコツ貯めていても、きちんとした相続税の知識がなく行ってしまうと、逆効果になりかねません。

税理士に申告を依頼する際、名義預金の有無を必ず伝えましょう。

贈与の事実はハッキリとさせること

名義預金を回避するためには、親族間であっても贈与契約書の作成を行う等、贈与の事実をハッキリとさせることが大切です。

贈与は、「あげた」「もらった」の、両者の意思表示があって始めて成立する契約です。贈与に関する証拠がなく、子どもや孫に贈与の説明も行っていない状況では、贈与が成立しているとは言い難いです。

贈与を行う際は、子どもや孫と話し会いを行い、贈与契約書の作成を行うこと、そして、預金通帳や銀行印の管理も子どもや孫に行ってもらう必要があります。

相続税の追徴課税を防ぐためには、専門家に包み隠さず話すこと

このように、相続税対策を行う際は、適切な知識が必要です。

なお、相続税の年間申告件数は税理士一人当たり1件か2件程度と言われており、相続税申告は税理士業務の中でも専門度が高い業務です。

担当する税理士によって、相続税をどこまで引き下げられるかも変わりますが、相続税だけでなく、納税資金の確保など、どこまで考えてくれているかが重要です。

秋田税理士事務所グループでは、相続手続きをまるっとサポートいたします。相続税の申告だけでなく、預金口座の解約や不動産の相続登記など、司法書士や行政書士などの専門家がやさしくサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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