相続全般

相続登記費用はいくら?税理士が内訳・相場を解説【秋田】

あきた相続・贈与相談プラザ(運営:秋田税理士事務所) / 坂根 崇真

税理士、行政書士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役 【著書】 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

悩んでいる方
父から実家の土地と建物を相続したのですが、「相続登記」という手続きが必要だと聞きました。費用は一体いくらくらいかかるのでしょうか?なんだか高額なイメージがあって不安です…。

ご心配お察しします。不動産を相続された場合、「相続登記」という、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ変更する手続きが必要になります。そして、この手続きには確かに費用がかかります。

費用の総額は、相続する不動産の価値(固定資産税評価額)や、手続きを専門家(司法書士)に依頼するかどうかによって変わってきますが、一般的には絶対にかかる法定費用として数万円から数十万円程度のケースが多いです。これに加えて司法書士報酬が全国平均約8万円(1つの不動産のみの場合)程度です。

この記事では、「相続登記費用って具体的に何にいくらかかるの?」「自分でやれば安くなる?」「専門家に頼んだ場合の相場は?」といった疑問について、あきた相続・贈与相談プラザ(運営:秋田税理士事務所)の税理士が、費用の内訳や相場、注意点などを分かりやすく解説します。司法書士への報酬についても触れますが、税理士の視点から、相続税との関連なども含めてお伝えします。

この記事のポイント

  • 相続登記費用は主に①登録免許税 ②実費 ③専門家(司法書士)報酬の合計。
  • 登録免許税は不動産の評価額によって決まる国税(原則:評価額×0.4%)。
  • 実費は戸籍謄本などの書類取得費用で、通常1万円前後かかることが多い。
  • 司法書士報酬は事務所によるが、一般的な相続登記で6~10万円程度が相場(全国平均8万円)。
  • 相続登記は2024年4月から義務化! 放置すると罰金(過料)のリスクあり。
  • 自分で登記も可能だが、手間とリスクを考えると専門家への依頼が安心・確実。

相続登記は、単なる名義変更ではなく、あなたの権利を守るための重要な手続きです。そして、相続登記が義務化された今、放置しておくことはできません。 費用の心配もあるかと思いますが、この記事を読んで全体像を把握し、不安を解消していきましょう。

あきた相続・贈与相談プラザでは、相続登記に関するご相談はもちろん、面倒な相続手続き全体のサポートも承っております。まずは初回無料面談で、お気軽にお話しをお聞かせください。

秋田税理士事務所のあんしん相続手続きサポート

\初回無料診断/

相続手続きのサポートを依頼する!

相続登記とは?なぜ必要なの?【義務化されました】

まず、「相続登記」とは何か、そしてなぜ必要なのかを簡単にご説明します。

相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた土地や建物などの不動産の名義を、遺産を引き継いだ相続人の名義に変更する手続きのことです。この手続きは、その不動産を管轄する法務局(秋田市内の不動産であれば、主に秋田地方法務局)に申請します。

この手続きによって、その不動産の所有者が法的に明確になり、あなたが正当な所有者であることを第三者に対して主張できるようになります。

相続登記は義務です!放置のリスク

以前は相続登記に期限はなく、義務でもありませんでした。しかし、所有者不明の土地が増加し、空き家問題や災害復旧の妨げになるなどの社会問題が発生したため、法律が改正され、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されました。

<相続登記義務化のポイント>

  • 相続(または遺贈)によって不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が必要。
  • 過去に相続した不動産で、まだ登記がされていないものも義務化の対象(施行日から3年以内が猶予期間)。
  • 正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性がある。

「罰金があるから」というだけでなく、相続登記をしないまま放置しておくと、以下のような様々なリスクやデメリットがあります。

  • 不動産の売却や担保設定(ローン利用など)ができない。
  • 次の相続が発生すると、関係者がさらに増え、手続きがより複雑になる。
  • 他の相続人が勝手に自分の持ち分だけ登記したり、借金の担保に入れてしまうリスクがある。
  • 時間が経つと必要書類(戸籍など)の入手が困難になることがある。

相続登記は、ご自身の権利を守り、将来のトラブルを防ぐためにも、できるだけ早く済ませておくべき重要な手続きなのです。

相続登記費用の全体像:何にいくらかかる?

さて、本題の相続登記費用です。費用は大きく分けて、以下の3つで構成されます。

相続登記費用の3つの内訳

  1. 登録免許税:登記をする際に国に納める税金。
  2. 必要書類取得費などの実費:戸籍謄本や住民票などを取得するための費用。
  3. 専門家(司法書士)への報酬:手続きを司法書士に依頼する場合の費用。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【費用1】登録免許税:国に納める税金

登録免許税は、不動産登記や会社設立登記など、特定の登記手続きを行う際に国に納める税金です。相続登記の場合、以下の計算式で算出されます。

登録免許税 = 不動産の価額(固定資産税評価額) × 税率 0.4%

  • 不動産の価額:市町村(秋田市など)が決定する「固定資産税評価額」が基準となります。毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されている「価格」または「評価額」の欄を確認するか、市町村役場(秋田市なら資産税課など)で「固定資産評価証明書」を取得して確認します。土地と建物それぞれに評価額があります。
    • 計算の際、評価額の合計額について1,000円未満は切り捨てます。
  • 税率:相続による所有権移転登記の税率は0.4%(1000分の4)です。
    • ただし、遺言によって相続人以外の人(孫や他人など)が不動産を取得した場合(遺贈)は、税率が2%(1000分の20)と高くなるので注意が必要です。
  • 計算結果:算出された登録免許税額の100円未満は切り捨てます。ただし、計算結果が1,000円未満の場合は、1,000円となります。

<計算例>
土地の固定資産税評価額:2,000万円
建物の固定資産税評価額:1,000万900円
の場合…

登録免許税の計算例

  1. 不動産の価額(課税標準)の計算:
    2,000万円 + 1,000万900円 = 3,000万900円
    1,000円未満を切り捨てて → 3,000万円
  2. 登録免許税の計算:
    3,000万円 × 0.4% = 12万円

この登録免許税は、登記申請書に税額分の収入印紙を貼って法務局に納付します。収入印紙は郵便局や法務局内の印紙売場で購入できます。

(補足)特定のケースでは登録免許税が免除される措置もありますが、適用要件が細かいため、該当するかどうかは専門家にご確認ください。また、配偶者が居住権(配偶者居住権)を設定登記する場合は、別途登録免許税(建物の評価額×0.2%)がかかります。

【費用2】必要書類取得費などの実費

相続登記の申請には、相続があったことや相続人が誰であるかなどを証明するために、多くの公的な書類を添付する必要があります。これらの書類を取得するための費用(実費)がかかります。

<主な必要書類と取得費用の目安>

必要書類 費用目安(1通あたり) 取得場所
亡くなった方の出生~死亡までの戸籍謄本類(除籍・改製原戸籍含む) 450円~750円 本籍地の市区町村役場
亡くなった方の住民票の除票(または戸籍の附票) 300円程度 最後の住所地(本籍地)の市区町村役場
相続人全員の現在の戸籍謄本 450円 本籍地の市区町村役場
不動産を取得する相続人の住民票 300円程度 住所地の市区町村役場
固定資産評価証明書 200円~400円程度 不動産所在地の市区町村役場(秋田市など)
(遺産分割協議の場合)相続人全員の印鑑証明書 300円程度 住所地の市区町村役場
(任意)登記事項証明書(登記簿謄本) 480円~600円 法務局

※上記は一般的な目安です。市区町村によって手数料が異なる場合があります。
※相続人の数や、亡くなった方の本籍地の変遷などによって、必要な戸籍の通数は大きく変わります。通常、合計で1万円前後の実費がかかるケースが多いです。
※郵送で取得する場合は、別途郵送料や定額小為替の手数料がかかります。

特に、亡くなった方の出生まで遡る戸籍の収集は、本籍地が遠方だったり、何度も転籍していたりすると、非常に時間と手間がかかる作業です。

【費用3】専門家(司法書士)への報酬

相続登記の手続きは複雑なため、専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。その場合、司法書士への報酬(手数料)がかかります。

司法書士の報酬は、以前は基準がありましたが、現在は自由化されており、事務所ごとに異なります。ただし、日本司法書士会連合会が定期的に行っているアンケート調査によると、一般的な相続登記(土地1筆、建物1棟、相続人複数、遺産分割協議書作成含む)の場合、全国的な報酬の平均値は8万円程度となっています(地域によって多少差があります)。

<司法書士報酬に影響する要因>

  • 不動産の数や評価額:数が多い、評価額が高いほど報酬も高くなる傾向があります。
  • 相続人の数:相続人が多いほど、手続きや書類作成が複雑になり、報酬が加算されることがあります。
  • 遺産分割協議書の作成:登記申請だけでなく、遺産分割協議書の作成も依頼する場合は、別途報酬がかかることが多いです。
  • 戸籍謄本等の収集代行:面倒な戸籍収集をまとめて依頼する場合も、別途報酬がかかります。
  • 手続きの難易度:数次相続(相続登記しないうちに次の相続が発生)や、相続人に未成年者・行方不明者がいる場合など、特殊な事情があると報酬が高くなることがあります。
  • 事務所の方針:単に書類作成・申請代行のみを行うか、相続全般に関する相談やアドバイスまで丁寧に行うかによっても報酬は変わってきます。

報酬額だけで判断せず、どこまでの業務を依頼できるのか、相談にしっかり乗ってくれるかなども考慮して、信頼できる司法書士を選ぶことが大切です。あきた相続・贈与相談プラザでは、相続案件の経験豊富な提携司法書士と連携しており、お客様のご状況に合わせて最適なサポートをご提供できます。登記費用のお見積りも可能ですので、お気軽にお尋ねください。

相続登記は自分でできる?メリット・デメリット

「費用を節約したいから、相続登記を自分でやってみたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。結論から言うと、自分で相続登記を行うことは可能です。しかし、それにはメリットとデメリットがあります。

<自分でやるメリット>

  • 司法書士報酬がかからないため、費用を節約できる。

<自分でやるデメリット>

  • 非常に時間と手間がかかる:必要書類の収集、登記申請書の作成、法務局とのやり取りなど、相当な時間と労力が必要です。平日に何度も役所や法務局に足を運ぶ必要も出てきます。
  • 専門知識が必要で難しい:戸籍の読み方、登記申請書の書き方、登録免許税の計算など、専門的な知識がないと難解です。
  • 書類の不備・申請の誤りリスク:少しでも書類に不備があったり、申請書の記載を間違えたりすると、法務局から「補正」の指示があり、修正のために再度法務局に出向く必要があります。最悪の場合、申請が却下されることもあります。
  • ミスの影響が大きい:万が一、間違った内容で登記してしまうと、後で修正するのが大変になったり、権利関係でトラブルになったりする可能性があります。
  • 義務化による過料リスク:期限(3年以内)までに正確な登記を完了できないと、過料を科されるリスクがあります。

確かに司法書士報酬は節約できますが、自分でやる場合の時間的・精神的な負担や、ミスのリスク、義務化への対応などを考えると、多くの場合、専門家である司法書士に依頼する方が、結果的に安心・確実で、スムーズに手続きを終えることができます。 費用の見積もりを取って、負担やリスクと比較検討されることをお勧めします。

特に、以下のようなケースでは、ご自身での手続きは困難な場合が多いため、専門家への依頼を強く推奨します。

  • 相続人が多い、または連絡が取りにくい相続人がいる
  • 遺産分割協議がまとまっていない、または揉めそうだ
  • 不動産の数が多い、または遠方にある
  • 数次相続が発生している
  • 遺言書の内容が複雑
  • 平日に手続きの時間を取るのが難しい

相続登記費用の具体例(シミュレーション)

ここで、一般的なケースで相続登記費用がどれくらいになるか、簡単なシミュレーションをしてみましょう。

<前提条件>

  • 亡くなった方:夫
  • 相続人:妻、子供2人(計3人)
  • 相続財産:自宅の土地・建物(土地評価額2,000万円、建物評価額1,000万円)
  • 遺産分割協議の結果、妻が不動産を相続することになった。
  • 手続きは司法書士に依頼する(一般的な報酬相場を想定)。

<費用概算>

費用項目 金額(目安) 備考
1. 登録免許税 120,000円 (2,000万円+1,000万円) × 0.4%
2. 実費(書類取得費等) 約10,000円 戸籍謄本、住民票、評価証明書、登記事項証明書など
3. 司法書士報酬(税込) 約88,000円 登記申請代行、遺産分割協議書作成サポートなどを含む場合(※事務所により変動)
合計費用(概算) 約218,000円

※上記はあくまで一例です。不動産の評価額や筆数、相続人の数、依頼する業務内容によって費用は大きく変動します。正確な費用は、必ず事前に見積もりを取りましょう。

相続登記費用は誰が負担する?

この相続登記費用は、誰が支払うべきなのでしょうか?

法律上、費用負担者についての明確な定めはありません。そのため、相続人間で話し合って決めることになります。

一般的には、その不動産を相続する人が負担するケースが多いようです。その不動産を取得するという利益を受けるため、という考え方です。

しかし、他の方法として、

  • 相続財産全体(例えば預貯金など)から支払う
  • 各相続人が法定相続分に応じて負担する
  • 相続人全員で均等に負担する

といったケースもあります。誰が負担するにしても、後で揉めないように、遺産分割協議の際に費用負担についても合意し、遺産分割協議書に明記しておくと良いでしょう。

(補足)相続登記費用(登録免許税、実費、司法書士報酬)の領収書は、将来その不動産を売却した際に、譲渡所得の計算上、取得費として経費計上できる場合があります。大切に保管しておきましょう。

面倒な相続手続きはまとめて専門家へ!

相続登記は相続手続きの一部にすぎません。実際には、預貯金の解約、株式の名義変更、相続税の申告(必要な場合)など、他にも多くの手続きが必要です。

これらの手続きを個別に各専門家(司法書士、税理士、行政書士、弁護士)に依頼するのは大変ですし、それぞれご自身で探して依頼すると連携がスムーズにいかないケースがほとんどです。

あきた相続・贈与相談プラザでは、税理士事務所、行政書士事務所が運営していますが、司法書士や弁護士とも連携しており、相続に関する手続きをまとめてサポートする体制を整えています。

戸籍収集、財産調査、遺産分割協議のサポート、預貯金等の名義変更に加え、必要に応じて相続登記の手配や相続税申告の手配まで、面倒な手続きをまとめて「遺産整理業務(相続手続きおまかせパック)」としてご依頼いただくことが可能です。

これにより、お客様はあちこちの専門家を探したり、何度も同じ説明をしたりする手間から解放され、安心して全ての手続きを私たちにお任せいただけます。

まとめ:相続登記費用を理解し、早めの対応を

相続登記の費用は、登録免許税、実費、そして専門家(司法書士)報酬の合計で決まります。決して安い金額では無いかもしれませんが、相続登記が義務化された今、避けては通れない手続きです。

自分で手続きすることも頑張れば可能かもしれませんが、時間・手間・リスクを考えると、専門家への依頼が賢明な選択となることが多いでしょう。

大切なのは、相続が発生したら、あるいは将来の相続に備えて、できるだけ早く専門家に相談することです。

あきた相続・贈与相談プラザでは、秋田市及び近郊にお住まいの皆様からの相続に関するお悩みを、初回無料でお聞きしています。

「相続登記の費用が具体的にいくらかかるか知りたい」「相続手続き全体を任せたい」「相続税のことも心配だ」など、どんなことでも結構です。まずは、あなたの状況や疑問点を、私たちにお話しをお聞かせください

経験豊富な専門家が、費用のお見積りも含め、丁寧に対応させていただきます。下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

秋田税理士事務所のあんしん相続手続きサポート

\初回無料診断/

相続手続きのサポートを依頼する!

  • この記事を書いた人

あきた相続・贈与相談プラザ(運営:秋田税理士事務所) / 坂根 崇真

税理士、行政書士、㈳全国第三者承継推進協会 理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役 【著書】 相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本 【メディア実績】 Yahoo!ニュース、livedoor ニュース、Smart News、幻冬舎GOLD ONLINE 、現代ビジネス ほか

-相続全般