ふるさと納税 ワンストップ特例制度とは?
ふるさと納税の手続きには、確定申告が必要です。なぜならふるさと納税のシステムは、寄付した金額分所得税と住民税から控除されるというものだからです。(2,000円の自己負担額というものがあり、寄付した金額から2,000円を引いた分の控除が受けられます)
確定申告が面倒でふるさと納税に億劫になっているという人も多いかと思います。しかし、確定申告をしないでふるさと納税を利用できる便利な制度があります。それが、「ワンストップ特例制度」です。今回はこの「ワンストップ特例制度」という制度について紹介していきます。
ワンストップ特例制度を利用できる条件とは?
ワンストップ特例制度は確定申告をしないでふるさと納税を利用できるという便利な制度ですが、いつでもだれでも利用できるというわけではありません。
ワンストップ特例制度は2015年に導入された制度です。確定申告をすると所得税と住民税から寄付金控除が受けられるのに対して、ワンストップ特例制度では住民税のみが控除の対象となります。そして、このワンストップ特例制度を利用するためには2つの条件を満たす必要があります。
それは
・ふるさと納税の寄付先が1年間(1月1日~12月31日)で5自治体以内であること
・ふるさと納税以外に確定申告が不要であること
の2つです。(1つ目の条件の5自治体以内というのは、寄付の回数ではなく寄付先の自治体数です。同じ自治体に複数回寄付をしても自治体数は変動しません)
「ふるさと納税以外に確定申告が不要であること」という条件を満たさない人(ふるさと納税以外に確定申告が必要な人)は、以下のような人です。
・個人事業主
・不動産収入がある
・給与が2000万円以上ある
・一定額(年末調整されなかった給与収入金額と給与所得と退職所得を除く各種所得金額との合計額が20万円以上)の給与所得が2つ以上の会社からある
・給与所得は1つの会社からだが給与以外の副収入が20万円以上ある
・医療費控除や住宅ローン控除などで税金の控除・還付を受ける
・「ふるさと納税 ワンストップ特例制度」の申請期日に間に合わなかった
・1年間で6自治体以上にふるさと納税をしている
確定申告とワンストップ特例制度の併用は不可であり、より細かい事例を見ていくと以下のようになります。
・ワンストップ特例制度の申請書を出した後で確定申告した場合
ワンストップ特例制度の申請書を出した後でも確定申告は可能ですが、確定申告をした時点でワンストップ特例制度の申請が無効となります。そのため、確定申告において再度、ふるさと納税分を記載する必要があります。この時、申請書を送付した自治体への連絡は不要です。
・一部をワンストップ特例で申告して、残りを確定申告する場合
このような申請は確定申告とワンストップ特例制度の併用にあたります。不可となります。
また、ワンストップ特例制度の申し込み手続き期限を過ぎた場合は、確定申告を行うことで手続きを済ませることができます。
ワンストップ特例申請は、寄付の翌年1月10日まで(必着)に寄付先の自治体へ書類を提出しなければなりません。(受領証明書に記載されている受領日(入金日)が12月31日に間に合わなかった場合、税の控除を受けられるのは翌年分となります)
しかし確定申告の申込手続き期限はそれよりも遅く、おおよそ翌年2月中旬〜3月中旬となっています。
ワンストップ特例制度の利用対象であっても「絶対にワンストップ特例制度を利用しなければならない(ふるさと納税で確定申告してはいけない)」ということはありません。
申請に必要な書類は?
ワンストップ特例制度を申請するには、2種類の書類が必要となります。
1つ目
ふるさと納税を行った先の自治体へ送付する必要事項を記入したワンストップ特例申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)
ワンストップ特例申請書は、各自治体から郵送されるケースも多いですが(多くの場合、寄付先の自治体から「寄付金受領証明書」とともに郵送されます)、自治体や総務省のホームページ、大手ふるさと納税サイトなどからでも入手できます。
2つ目
マイナンバーおよび本人を確認できる書類の写し
こちらもワンストップ特例申請書に同封して寄付先の自治体へ郵送します。
この本人確認書類は、A・B・Cのパターンの中から選択します。
マイナンバーカードの写し(両面)
マイナンバー通知カードのコピー or マイナンバーの記載されている住民票の写し
運転免許証のコピー or パスポートのコピー
マイナンバー通知カードのコピー or マイナンバーの記載されている住民票の写し
健康保険証 or 年金手帳 or 提出先自治体が認める公的書類のうち2つ以上の写し
健康保険証に記載されている保険証番号、被保険者記号・番号、QRコードは、情報が見えないよう付箋などで該当箇所を隠してからコピーしてください。
マイナンバーの通知カードの写しを提出する場合、通知カード記載の氏名、住所等が住民票の記載事項と一致している必要があります。一致しない場合、通知カードはマイナンバーの証明としては利用できないので注意が必要です。
ちなみに、ワンストップ特例制度の申請書を提出した後名前や住所の変更があった場合は、「申請事項変更届出書」を提出する必要があります。
2つの書類が用意出来たら後は寄付先の自治体に郵送するだけです。送付先の住所は大手ふるさと納税サイトの会員であれば各サイトで確認することが可能です。自治体によっては直接の問い合わせが必要となるケースもあるようです。
ワンストップ特例制度は寄付することができる自治体を5つまでとしていますが、同じ自治体であれば複数回寄付しても問題ありません。しかし、同じ自治体に複数回寄付した場合は、必ずふるさと納税の寄付の回数に応じた申請が必要となります。(申請書は1件の寄付につき1枚必要になります)
ワンストップ特例制度はお得なのか?
確定申告とワンストップ特例制度では、控除額に違いはありません。
確定申告は所得税と住民税から、ワンストップ特例制度は住民税のみから控除されるという違いがあるだけです。
しかし、この違いが金額的な差を生むケースがあります。
それは、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の控除額が大きいケースです。住宅ローン控除では所得税から控除しきれなかった額がある場合は住民税からも控除することができますが、その控除限度額は課税総所得金額の7%で最大136,500円までと上限額が決められています。そして住宅ローン控除はふるさと納税分の控除後に適用されます。
つまり、ふるさと納税を確定申告して所得税から控除すると上限額満額の控除が受けられない、というケースが考えられるのです。
ここでワンステップ特例制度を使えば住民税のみからの控除なのでこのような事態にはならない、ということです。しかし住宅ローン控除を利用する初年度には確定申告が必要なのでワンステップ特例制度との併用が不可になる、ということにも注意しておきましょう。
一方で、本人確認書類のコピー代や切手代、その準備の手間を考えてワンストップ特例制度のほうがコストがかかる、と考えることもできます。
まとめ
今回はワンストップ特例制度を紹介しました。
条件があったり必要な書類があったりして面倒に感じたかもしれませんが、確定申告よりも簡単な手順でふるさと納税を利用できる便利な制度です。気になった方はぜひ一度試してみてください!